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ブログ記事

コロナ検査の感度と特異度

投稿者 j_sugimoto 日時 2022年2月20日

今日は新型コロナの検査について書きます。

一般の方は、検査は100%正しいものと思い込む傾向があります。
もちろん、我々医師も、検査は100%正しくあって欲しいと痛切に思ってはいるのですが、残念ながら、そうはいきません。

例えば、コロナウイルスを疑って検査をしたが陰性だった。症状が続くので数日後に再検査したら陽性だった。こういう例を、殆どの方が聞いたことがあるでしょう。
芸能人でも数多く報道されていますし、身近な方にもそういう体験をした人がいるかもしれません。
例えば、家族の感染状況と症状から、まず間違いなくコロナに感染していると思われる方でも、複数回のPCRや抗原検査が全て陰性という例もあります。
つまり、検査は正しいとは限らないのです。

コロナウイルスPCR検査の感度は70%~高くても80%程度と言われています。
感度とは、実際に病気になっている人の中で、検査で陽性になる割合を言います。「病気を見逃さない割合」と言っても良いでしょう。
つまり、感度が高い検査は見逃しが少ない検査です。感度が低い検査は見逃しが多い検査です。
コロナウイルスのPCR検査は感度が70~80%なので、20~30%はコロナ感染者に検査をしても結果が陰性になり、見逃してしまいます。これを偽陰性と言います。
症状がある人に対して、適切な時期に行った場合、抗原迅速検査もほぼ同等の感度です。

コロナウイルスPCR検査の特異度は99%(あるいはそれ以上)と言われています。
特異度とは、病気でない人を検査して陰性になる割合を言います。
特異度が低い検査は、本当は病気でないのに病気であると誤って判定されてしまう人が多くなることになります。これを偽陽性と言います。
コロナウイルスのPCR検査は特異度が99%あるいはそれ以上ですが決して100%ではないので、多く見積もって約1%の人は、本当はコロナには感染していないのに、誤ってコロナに感染していると判定されていることになります。
症状がある人に対して、適切な時期に行った場合、抗原迅速検査もほぼ同等の特異度です。

当然のことながら、コロナに限らずどのような検査でも、感度100%、特異度100%の検査が理想です。しかし、どれほど検査技術が進んで検査が改良を重ねても、それは実現不可能です。将来的には今よりはマシにはなっていくとは思いますが。
というのは、検査の感度を上げるために閾値(病気と判定する基準)を下げると、感度は上がるのですが、特異度が下がります。
検査には限界があり、100%を検査に求めても無理で、検査結果を過信してはいけない、ということです。

現状、新型コロナの検査は上記のような感度・特異度ですから、
陽性の結果が出た方は(ほぼ)コロナ感染者と考えて良い
陰性の結果が出た方の中にはコロナ感染者が実はそこそこ含まれている
ということになります。
言い換えると、
新型コロナの検査は、感染していることの確認にはなるが、感染していないことの確認にはならない。
コロナの検査で陰性だったからといって、コロナじゃないとは言えない。
ということです。

ただ、それをあまりに気にしすぎると、少しでも症状があれば、仕事も学校も全く行けない(濃厚接触者になる家族も含めて)、ということになります。それでは社会が全く回りません。
ですので、実際に現場では、症状が軽い・あるいは既に治ってきていて、かつ、検査結果が陰性だった場合には、(厳密に言えばそれでもコロナの可能性はあるのだが)「コロナじゃないと考えて対処して良いでしょう」と説明することが多いです。
また、様々な要素から、どうしてもコロナじゃないとは言えないと判断した方に関しては、他人にうつす可能性のある期間は自宅で隔離しておいて下さい、症状が出てきた家族の方がいる場合は発熱外来で診察を受けて下さい、と説明しています。

一方、例えば、今朝から熱があるというお子さんを連れて受診されて、診察の結果として全身状態が悪くないことを確認し、対症療法の薬を処方して、「コロナの検査はまだ早いので、ちょっと時間をおいて明日(あるいは明後日)にしましょう。検査しますので、あらためて受診して下さい」とお話ししても、「検査して陰性じゃないと私が仕事に行けないんです!今すぐ検査して下さい!」と食い下がる親御さん。検査を今しても偽陰性になってしまって、間違った陰性の結果を元に間違った行動(通勤・通学など)をすることに繋がるから今検査する意味がないと繰り返して説明しても納得されず。結果、すぐに検査をしてくれる医療機関をご自身で探し回って、検査を受けて陰性。陰性だったからコロナじゃないと通常の生活を続け、その後家族や周りに感染を広げてしまう、というパターン。後から私が、その患者さんや、周りで影響を受けた人から話を聞けた方だけでも、複数おられます。
一概にそれが悪いこととまでは言えませんが、診察した医師としては、そういう事実を知ると、残念な気持ちにはなります。
もちろん、きちんと適切な時期に検査をしても、感度70~80%程度の検査ですから、見逃しは発生してしまうのですが、適切な時期まで時間を置くことで、検査の感度を上げるだけではなく、ある程度の症状経過も確認できますから、少しでも見逃しは減らせると思います。

コロナの検査は、そういうものだということを、ご理解いただければ幸いです。

 


現在、主にオミクロン株による新型コロナウイルス感染症の急拡大がみられており、成人中心の感染症から、若年者や小児が中心の感染症に様相が変わっています。

日本での新型コロナワクチン接種は、12歳以上の小児に関しては昨年すでに開始されていますが、5歳~11歳の小児に対する新型コロナワクチンも今年の1月21日に特例承認を受けたため、3月以降に接種が開始されることが決まりました。
それに伴い、外来でもその年代の小児への新型コロナワクチン接種について、質問されることが増えています。
あくまでも現時点でのということになりますが、小児に対する新型コロナワクチン接種についての私(院長)の私見を書いておきます。

○小児の新型コロナウイルス感染症の殆どは軽症

これまでの新型コロナウイルス感染症による重症例や死亡例の多くは、基礎疾患のある高齢者でした。
小児のコロナウイルス感染症の症状は、ほとんどの場合、軽症で、いわゆる風邪症状や胃腸炎症状です。
「うちの子は40℃を超える熱が出た」
「咳き込んで夜が寝られない日が数日続いた」
「喉が痛くて飲み食いがほとんどできなくなった」
その程度の症状はある場合もありますが、軽症の範疇に入ります。
比較対象として、季節性インフルエンザと比べますと、少なくとも小児においては、現時点ではインフルエンザの方が重症化率・死亡率ともに高いです。
オミクロン株は、これまでのデルタ株などに比べて軽症の事が多いという海外の報告もあります。
それでも、感染者数が増えれば、一部の患者さんは重症化する可能性がありますので、くれぐれも油断は禁物です。


○小児間の感染が増えている

以前(デルタ株まで)は、小児は感染しにくいのが新型コロナの特徴でした。新型コロナウイルス感染のほとんどは成人同士の間で起こっており、感染した大人が家庭に持ち込むことで子どもが感染するというのが多く見られるパターンでした。
学校、幼稚園、保育園でのクラスターの発生は、会社など成人のクラスターの発生よりも非常に少なく、小児同士での感染拡大は少なかったのです。
しかし、オミクロン株は大きく変異したことによって、子どもや若年者にも感染しやすいため、小児間で流行拡大が起こっています。

○新型コロナウイルスワクチンは、長期的な副反応は全く不明

日本国内で現在使われている新型コロナウイルスワクチンは、メッセンジャーRNAワクチン(正確には修飾ウリジンRNAワクチン)という、今回初めて人類に対して使用されているワクチンです。
短期的な副反応としては、従来の他のワクチンと比べて、接種局部の腫れや痛みだけではなく、接種後の発熱、頭痛、倦怠感などの全身性の副反応が多くみられ、特に年齢層が若いほど副反応を呈する割合が高いことが知られています。
また、発生頻度は非常に稀ではありますが、心筋炎・心膜炎という重大な副反応もあります。
新型コロナウイルスワクチンは開発されて1年程度のワクチンであり、特に小児への接種を始めてからはごく短期間しか経過していませんから、現時点では長期的な副反応については不明です。
5歳~11歳の新型コロナワクチン接種の治験は、わずか2250人のデータをもとにしたものであり、重大な副反応を調べるには不十分と言わざるを得ません。

○オミクロン株への効果はあまり期待できない可能性がある

デルタ株までに比べ、オミクロン株へのワクチン効果の低下が各国で指摘されています。例えばワクチン接種の最先端をいくイスラエルでも、3回目接種が済んでいる人達へのオミクロン株による感染拡大がみられています。その他の国でも同様の報告が相次いでいます。
感染予防効果(感染しない、あるいは他人にうつさない効果)は、ほとんどないと考えて差し支えありません。「大切な人にうつさないためにもワクチンを」と言っている人が未だにいますが、そのような効果はほぼ期待できないと考えられます。
また、小児でのオミクロン株に関するワクチン接種後の重症化、入院率の低下などを示す正式なデータはまだありません。


○以上を踏まえた上での私(院長)の私見

重大な基礎疾患のあるハイリスクの小児の場合は、感染による重症化のリスクが高いことから、ワクチン接種を考慮する必要があると考えます。
基本的に健康な(重大な基礎疾患がない)小児への新型コロナワクチン接種の必要性は低いと考えます。

小児でのオミクロン株に対するワクチンの効果と副反応が現状では不明なことが多く、諸外国のデータをみても、小児には必要性は低いと考えられます。
少なくとも、拙速なワクチン接種の決定は不要です。
5歳~11歳のワクチン接種は3月以降から開始されますので、これからの流行状況、感染者の症状などもしっかりと見たうえで、本人と保護者が納得できるように、接種の是非をお決めください。
以前このブログにも書きましたが、最終的には、感染して「ワクチンを打てば良かった」と悔やむ方がマシか、ワクチンで短期的あるいは長期的な副反応があって「打たなければ良かった」と悔やむ方がマシか、自分自身がどちらのほうがまだ納得できるか。
そういう視点から、よく考えて、ワクチンをうつかうたないか、決める必要があります。

なお、ワクチンの必要性は、そのように、病気のリスクとワクチンの副反応によるリスクを天秤にかけて決めるものですので、あくまでも以上は現時点での意見です。今後、状況により変化するものであることをご理解ください。

蛇足ながら、高齢者の場合はワクチンによる重症化予防効果が明らかに確認されていますし、感染による重症化のリスクは大変高く、副反応のリスクは比較的小さいと考えられますので、高齢者や基礎疾患のある大人の方は、ブースター接種(3回目)を含めてしっかりワクチン接種することをお勧めします。


新型コロナの検査について

投稿者 j_sugimoto 日時 2022年1月30日

1月26日に「お知らせ」にも書きましたが、昨今の新型コロナの感染拡大のため、全国的に検査の数が急激に増加、検査キットが大幅に不足しており、当院では現在、検査がほぼできない状況にあります。

当院では、従来、「抗原定性検査キット」と、「ID NOW」というPCRに近い検査(厳密にはPCRとは違うのですがPCRと同等の核酸増幅法による検査)を院内でできる体制にしており、いずれも15分程度の待ち時間で結果がわかります。
症状や経過時間などを勘案して、必要に応じて使い分けていましたが、現在、どちらの検査キットも不足しており、発注してはいるのですが、いつ入荷するか全くわからない状態となっています。
検査キットの残りがごくわずかとなっているため、当面の間は、診察の結果、医療的に検査が絶対に必要な患者さん(重大な基礎疾患があり現在の症状も強い、確実に入院が必要な状態など)のみに限って検査を行います。

検査は本来は診断のために用いられるものなのですが、多くの方が不安を抱えている状態ですので、今の日本では、いや世界中で、不安を解消するためにも使われています。
医療用にPCR検査を行う検査会社もほぼパンク状態です。本来であれば翌日には結果が出る検査ですが、現状、3~4日後に結果が届くような状態ですので、PCR検査を外注している医療機関でも、診療業務に支障が出ています。
また、薬局等で配布・販売されている抗原検査キット(医療機関でも使われる体外診断用医薬品の他、研究用とされる廉価なものなど)も不足しているようです。

このコロナ検査ですが、発熱初日に他院や自宅で検査をして陰性だった方が2日ぐらい経過してから当院を受診されて、症状からコロナの可能性があると考えて再検査したところ陽性が判明した、という方が今までに何人もいらっしゃいます。
コロナ検査は、検査をする時期も、検体採取の方法も、重要です。たとえ同じ検査キットを使っても、それらに気をつけることで、精度は大きく違ってきます。
当院では、発症からの時間等、検査に適切な時期を見極めた上で、痛いのですが我慢していただいて、最もウイルス量が多いとされる鼻咽頭(鼻の一番奥、鼻とのどの境界部分)からしっかりと検体を採取しています。
小児の場合は特に、唾液では検査の精度も低く、十分な量の唾液を正しく採取することも困難なため、鼻咽頭での検査が望ましいと考えています。

上にも述べたように、新型コロナの検査は、症状がある場合には、不安の解消のためにも、少しでも可能性のある方全員に検査できるのが理想だとは思います。
しかし、検査キットが不足している今、それはできません。
そして、医療的に検査が必要な患者さんに適切に検査ができるように、できれば検査精度の高い医療機関に優先的に検査キットを回していただきたいと思っていますが、それも叶わない状態です。
マスコミは今でも「検査、検査」の大合唱のようですが、私の個人的な考えとしては、少なくとも検査が充足するまでの間は、無症状者や明らかに軽症(少し鼻水と咳がある程度)の方の「念のため」「不安解消のため」の検査はできるだけお控えいただき、少しでも多くの、医療的に必要な方が検査を受けられるように、ご協力いただきたいと考えています。
しかしながら、今現在ほとんど症状がないにも関わらず、どうしても今すぐ検査を受けたいとあちこち駆けずり回って探してでも検査を受ける人、あるいは、医療機関で検査不要と言われた人に対してさえ、少しでも可能性があるならと検査を受けることを強要する保育園や幼稚園、学校、職場などからの、様々な圧力に屈して検査を受けようとする人、そういう人達がたくさんいる限り、残念ながら、おそらく、検査キットの不足はしばらく続くことになるのでしょうね。


あけましておめでとうございます。

投稿者 j_sugimoto 日時 2022年1月4日

あけましておめでとうございます。

2022年も、より一層、良い医療を提供できるように、スタッフ一同、頑張ります。

新年は本日、1月4日(火)から診療いたします。

今年も「すぎもとキッズクリニック」をよろしくお願い致します。


2021年末のご挨拶

投稿者 j_sugimoto 日時 2021年12月31日

2021年も大晦日になりました。当院が開院してから7回目の大晦日です。

12月29日(水)で当院の2021年の診療は終了しました。
今年も多くの患者さんに御来院頂き、誠にありがとうございました。

今年も、昨年に引き続き、新型コロナウイルスに振り回された年でした。
国内ではしばらく収束ぎみとなっていた新型コロナウイルス感染症ですが、オミクロン株という新たな変異種が出現したことにより、再び第6波が心配される状況になりつつあるようです。
当院は、現在も、感染リスクを抑えながらより良い医療を提供するために、どうするのが現状ではベストなのか、勉強と試行錯誤が続いている毎日です。

これからも、地域の皆様のご期待に応えられるように、そしてより良い医療を提供できるように、スタッフ共々、より一層の努力と創意工夫を続けて参ります。

来年もどうぞよろしくお願い致します。

それでは、良いお年をお迎えください。


今シーズン(2021/2022シーズン)の、当院でのインフルエンザワクチン接種について、以下のように決定しました。

<接種期間>

2021年 10月12日(火)~12月23日(木)まで

<接種時間枠>

月・火・水・金曜日:夕診で、一般診察と平行して接種を行います。
予約は16:00~18:00の日時予約です。

火・水・木・金曜日:朝診で、一般診察と平行して接種を行います。
予約は9:30~11:30の日時予約です。

完全予約制です。
予約無しで来院されても接種できません。

(ご注意)

※予約枠は上記の時間帯で日時予約ですが、一般診察と平行して行いますので、接種時間は多少前後する事があります。
接種前後のご予定には充分な余裕をもってお越し下さい。

※昼診でのインフルエンザワクチン接種はありません。


<予約受付>

Web予約:9月29日(水)19:00(午後7時)~予約受付開始。

※予約ができる時期の少し前になりましたら、インフルエンザワクチン予約専用のメニューが出現します。
※PC、携帯、スマホから利用可。当院の診察券をお持ちの方のみとなります。
 当院の診察券をお持ちでない方は、予約できません。

電話・窓口での予約はできません。


<予診票>

インフルエンザ予防接種予診票_v3.1.pdf

<料金>

3000円/回


<注意事項>

○当院では1歳未満の乳児には接種いたしません。

○12歳以下の方は、必ず2回分をまとめてご予約下さい。

○13歳以上の方は、1回接種です。

○他のワクチンとの同時接種は行いません。

○インフルエンザワクチン接種と同時に保険診療や健診なども、行いません。

○公費負担(65歳以上など)には一切対応しておりません。

○卵アレルギーで完全除去中の方は、原則として接種しません。どうしても接種したいという方は、予約前に一度受診してご相談下さい。
 なお、少しでも卵を食べて症状がないことを確認できている方は通常通りに予約・接種できます。

○キャンセルされる場合は、必ずご自身でインターネット(web)でキャンセルされるか、クリニックまで電話でご連絡をお願いします。キャンセルされずに予約当日に来院されなかった(無断キャンセル)場合、以後のネット予約および当院でのワクチン接種ができなくなる場合があります。

○来院前にあらかじめ予診表に記入してお持ち頂ければワクチン接種がスムーズです。印刷できる環境がない方には、事前に窓口でお渡しすることもできますので、是非ご利用ください。

○例年、この時期にはインフルエンザ予防接種に関連するお電話でのお問い合わせや予約の申込みが非常に多く、急を要する問い合わせの電話が繋がらないなど、通常の診療に大きな支障がでる事態となっているため、お電話や窓口での予約およびお問い合わせには対応しません。インフルエンザワクチンに関するお電話によるお問い合わせはくれぐれもご遠慮ください。
ただし、予約をされた後の、急な病気などやむを得ない事情での予約変更やキャンセルに関しては、お電話や窓口でも対応させていただきます。

○Web予約のみですので、当院の診察券をお持ちでない方は予約できません。ご了承ください。


新型コロナと気管支喘息について

投稿者 j_sugimoto 日時 2021年6月27日

当院で特に治療に力を入れている病気に、気管支喘息があります。

今回は喘息と新型コロナについて、わかってきたことや考えられていることを、書いてみます。

気管支喘息を患っていることと新型コロナが重症化してしまうことにはあまり関連がなさそうとするデータがいくつも出ています。
そして、それ以上に最近言われているのが、どうやら、新型コロナに感染した人の中には、喘息を持っている人の割合が少なく、喘息があって適切に治療(コントロール)されている人は、むしろ新型コロナにかかりにくいか、あるいは、かかっても重症化しにくい可能性が、考えられています。
まだ、仮説のレベルですので、喘息のある人の方が重症化しにくい、と断言できるわけではありませんが、少なくとも、重症化しやすいということはない、とは言って良さそうです。

それはなぜか、というところで考えられている理由ですが、喘息の人が起こすアレルギー反応が、新型コロナが感染しないことに役に立っている、という仮説があります。
新型コロナウイルスは「ACE2」という受容体を足掛かりに体内に入って来ると考えられているのですが、このACE2受容体が、喘息のある(などのアレルギー反応を起こしやすい体質の)人では、減っているようなのです。
そのためウイルスの足掛かりが少なくて、ウイルスが体内に入ってきにくくなるのでは、と考えられています(あくまでも仮説です)。

また、いくつものデータで、喘息で適切に治療を行っている人の方が、そうでない(簡単に言うと治療をさぼっている)人よりも重症化しにくいことも示唆されています。

喘息治療で用いる吸入ステロイドには、気管支の炎症を抑え、空気の通り道を広げる作用があります。
新型コロナに感染して重症化すると、肺へ空気が入りにくくなってしまいます。一度潰れた肺胞は再度膨らむことが難しくなるため、肺の状態を悪くしてしまいますが、吸入ステロイドはこれに対し効果を示すのかもしれません。
また、吸入ステロイドは気道のACE2受容体を減らすという研究結果もあるため、ウイルスの侵入経路を減らす効果があるかもしれない、という仮説もあります。

あくまでも仮説の段階であって、具体的な証拠(エビデンス)はまだありませんが、喘息の治療で普段から吸入ステロイドをしっかり使っていることで、新型コロナに感染しづらくなったり、感染したときに重症化を抑えたりできる可能性があります。

また、内服薬に関しても、モンテルカスト(先発品ではシングレア、キプレス)が、内服していた人の方がそうでない人より新型コロナ感染率、重症化率が低かったというデータもでています。
同系統の薬であるプランルカスト(先発品ではオノン)でも同様の効果が期待されます。

以上、世界的にみて小児は感染者自体が多くないこともあって、データがたくさんあるのは殆どが大人(成人)、それも高齢者のデータなので、小児にも同じことが言えるかどうかは今後の検証が必要なこと、あくまでも現段階では殆どが「仮説」であることを留意する必要はありますが、少なくとも、喘息の人は、闇雲に新型コロナを恐れる必要はなく、今まで通りに、しっかりと適切に、薬を忘れないように気をつけて、治療を続けるのがとても大切だと言えると思います。
つまり、喘息のある人は、大人でも子供でも、しっかりと通院を続けて薬を正しく使い続けることが、結局は新型コロナから自分の身を守ることになるのです。


最近、患者さん(正確にはその保護者)から、新型コロナワクチンに関しての質問が時々あります。

その時点での私の考えを交えてお話させていただいていますが、正直なお答えは、
「わからないことが多すぎて何とも言えません」
ということになります。

現在日本国内で使用されている新型コロナのワクチンは、新しいウイルスに対してのワクチンであるということだけでなく、ワクチンそのものが全く新しい、今までになかったタイプのワクチンです。
そして、通常は臨床治験を慎重に進めて様々な検討を繰り返しながら、実用化されるまでにはいくら早くても数年はかかるものですが、世界的なパンデミックという特殊事情があるため、新型コロナのワクチンは、十分な期間の治験を経ずに実用化されています。
そのため、議論や判断できるだけのデータがまだあまりないので、ほとんどのことに対して、わからない、としか言いようがありません。

現状で言えることは、

○短期安全性は、今のところどうやら大きな問題はなさそう

アナフィラキシーが従来型のワクチンと比べてやや多い印象はあるのと、接種後、特に2回目接種の翌日は発熱・頭痛・全身倦怠感が出る人はかなり多いです。
しかし、安全性に今のところどうやら大きな問題はなさそうです。
接種後数日以内の死亡や脳出血などの報告はありますが決して多くはなく、それらの症状とワクチン接種との因果関係もはっきりしていません。

○長期安全性は全く不明

長期の安全性は長期間経たないとわかりません。
例えば10年後には「とても安全なワクチンです」と言えるようになっているかもしれませんが、打った人がみんな、とんでもない副反応に悩まされている可能性もないとは言えません。
逆に、10年後には、たくさんの素晴らしい効用があるからみんなぜひ打ちましょう、赤ちゃんにも積極的にうちましょう、となっている可能性もあります。
現時点でそれは全くわかりません。

○効果は、少なくとも短期的には、ある程度はありそう。長期的には不明。

海外のデータ(イスラエルやイギリスやアメリカ)では少なくとも短期的には、感染の予防と重症化の予防に関して、かなり高い効果があるようです。
日本での効果の検証はまだ進んでいません。これからです。
ただし、2回接種が終わってから新型コロナに感染、さらには重症化した報告もありますので、「ワクチンを接種すれば安心」とは考えない方が良さそうです。
あくまでも「感染や重症化の確率を下げる」ものであると理解して下さい。
ワクチン接種後も、手洗い・マスクなどの感染予防対策は必要です。
ワクチンをうったらマスクをしなくて良くなるわけでは決してありません。
また、短期的には感染予防効果はかなりありますが、長期的には不明です。
抗体依存性感染増強(Antibody-Dependent Enhancement:ADE)(ワクチンをうったせいでかえって感染したり重症化したりしやすくなってしまう)という現象が、懸念されるリスクの中で最も有名なものですが、それ以外も含めて、長期的な効果もリスクも、まだ何もわかりません。

現時点で長期的にもリスクはない、と断言している人は、現在の医学理論から「予想・想像」しているだけです。
新型コロナのことではなく今までの歴史で考えてですが、ワクチンにしろ薬剤にしろ、それまでの理論上は安全と言われていたのに、あとから有害な副反応や副作用が出てきた事例は、過去にいくつもあります。


○効果の持続期間は不明

今のところ、少なくとも半年~1年程度はワクチンの効果が続くと考えられていますが、毎年追加接種が必要なのか、2年に1回なのか3年に1回なのか、5年に1回なのか、まだ、わかりません。

○他人への感染をどれだけ減らせるかも不明

「周りの人に新型コロナをうつさないためにもワクチン接種を」という言い方をする人もいますが、ワクチンを受けた人から他人への感染をどの程度予防できるかは、まだあまり分かっていません。
ワクチン接種により他人への感染を減らせるとするデータもありますが、無症候感染が増えて感染に気が付かずにかえって感染を広める可能性なども言われており、どの程度感染を減らせるのか減らせないのか、まだわかっていません。


○新型コロナに感染することの長期リスクも不明なことだらけ

新型コロナ感染症そのものが新しい病気です。
ですので、新型コロナにかかった後、長期的なリスク(後遺症など)がどうなるかも、まだあまりわかりません。
ワクチンを打った場合にも長期的な副反応があるが、自然にコロナに感染すると、もっともっと恐ろしい後遺症がある、という可能性も大いにあります。
実際に新型コロナに感染した人たちをみていると、分類上は「軽症」であった人でも、何ヶ月にもわたって強い倦怠感や味覚・嗅覚障害に悩まされていたり、罹患後ずっと体調が優れない、という人は結構います。


以上をもとに、自己責任で、接種するかどうかを判断する必要があります。
何せわかっていることが少なすぎて、接種するにしても、接種しないにしても、一種の「賭け」のようなものだと私は思っています。
賭け・博打だとしても、うつかうたないか、判断しないといけないのです。
感染して「ワクチンを打てば良かった」と悔やむ方がマシか、ワクチンで短期的あるいは長期的な副反応があって「打たなければ良かった」と悔やむ方がマシか、自分自身がどちらのほうがまだ納得できるか。
そういう視点から、よく考えて、ワクチンをうつかうたないか、決める必要があります。

上で、よく考えて、と書きましたが。
さんざん考えて悩んだ結果接種しても、なんとなく接種しても、接種という結果は同じです。
色々考えて徹底的に調べた結果接種を見送っても、なんとなく怖いから接種を見送っても、非接種という結果は同じです。
その結果を(良い結果も悪い結果も全て含めて)享受するのは、ご自身(あるいはお子さん)です。
また、他人に対して接種を勧める人も、接種に反対している人も、誰も、その結果に対して責任を取ってはくれません。
明らかにわかるのは、新型コロナに関してこれだけ何もわかっていない現状で、わかったような顔をして、質問してもいないのに自分から他の人に強く接種を勧める人も、あるいは接種しないように強く勧める人も、驚くほど無責任な人だなぁ、ということだけ、です。
接種する・あるいはしないことに対して責任を取れるのは、自分自身だけですから。
「もっとしっかり考えて、調べてから、決めないとだめよ!」と言う人だって、結局はわからないことだらけの中での決断をしているわけです。
考えるための材料に乏しい現状としては、「下手な考え休むに似たり」かもしれませんね。

私自身の、あくまでも「現時点での個人的な印象」としては、
・概ね60歳以上ぐらいの年齢の方は、ぜひ接種した方が良い。短期的な重症化を減らすだけでも大きなメリットです。
・40代~50代ぐらいは、多分接種した方が良いような気がする
・20~30代はかなり微妙・・・
 重篤な基礎疾患がある人は感染した時に重症化するリスクが高いから接種した方が良い気がするけど健康な人は様子見が良いかな?
 感染リスクの大きい仕事かどうかなど、生活環境にもよるかな。
・10代あるいはそれ以下は、もう少し長期のリスクと効果がはっきりするまで接種しない方が良い。
 「わからない」ことが多いのがリスクとして大きすぎる。
という印象を持っています。くどいですが、あくまでも現時点では、です。
特に小児(中学生以下)への接種に関しては、接種するリスクの方が明らかに大きいと、現時点で私は考えています。
あくまで私個人の「印象」であり、しかも現時点では、という条件付きです。参考程度にしてください。
どの年代の方に対しても、強く接種を勧めることも、強く接種を控えるように勧めることも、しません。
だって何度も書くように、「まだほとんど何もわからない」ですから。
何が最良の選択だったかは、後世の歴史が証明してくれることでしょう。

長文失礼しました。


なお、現時点で、当院では新型コロナワクチン接種を行う予定はありません。
ただし新しいことがわかったり社会情勢の変化などによって、突然予定がかわる可能性はありますので、その場合はこのホームページ・ブログや院内掲示などで随時、情報発信していきます。


あけましておめでとうございます。

投稿者 j_sugimoto 日時 2021年1月3日

あけましておめでとうございます。

2021年も、より一層、良い医療を提供できるように、スタッフ一同、頑張ります。

新年は1月4日(月)から診療いたします。

今年も「すぎもとキッズクリニック」をよろしくお願い致します。


2020年末のご挨拶

投稿者 j_sugimoto 日時 2020年12月31日

今年、2020年も大晦日になりました。当院が開院してから6回目の大晦日です。
12月29日(火)で当院の2020年の診療は終了しました。
今年も多くの患者さんに御来院頂き、誠にありがとうございました。

今年は、なんといっても、新型コロナウイルスによって、世の中全体が大変大きな影響を受け、殆どの人の生活が一変した年でした。
当院のみならず、医療機関も、その診療内容を大きく見直したり、診療スタイルを変えざるを得ないことが数多くありました。
現在も、感染リスクを抑えながらより良い医療を提供するために、どうするのが現状ではベストなのか、勉強と試行錯誤が続いている毎日です。

これからも、地域の皆様のご期待に応えられるように、そしてより良い医療を提供できるように、スタッフ共々、より一層の努力と創意工夫を続けて参ります。

来年もどうぞよろしくお願い致します。

それでは、良いお年をお迎えください。

 


ワクチン接種間隔のルールが変わります

投稿者 j_sugimoto 日時 2020年9月18日

今年、令和2年の10月1日から、ワクチン同士の接種間隔の規定が変更になります。

今までは生ワクチンを接種した後は4週間、不活化ワクチンを接種した後は1週間、他のワクチンは接種できない、というルールでした。
それが、種類の違うワクチンなら、原則として、間隔を空けなくても接種できることになります。

唯一の例外として「注射の生ワクチンと生ワクチンの間のみ4週間空ける」という縛りだけが残りますので、そこだけは注意が必要です。
注射の生ワクチンは、BCG、MR、水痘、おたふくかぜです。

なお、同じワクチン同士の接種間隔、例えば肺炎球菌ワクチンの場合は1回目から2回目の接種まで4週間以上あけるなどの規定は今まで通りです。

定期接種の場合は10月以降も今までとの違いを感じることはそれほど多くはないかもしれません。

ただし、これからのインフルエンザワクチン接種の時期には、今までとは違って、「インフルエンザワクチンの予定が自由に組める」ということになります。
インフルエンザワクチンは不活化ワクチンですので、前日などに他に(インフルエンザ以外の)どんなワクチンを接種していても関係なく接種が可能になり、また、インフルエンザを接種した後、直後でも他のワクチンを接種することができます。
(あまりないとは思いますが、生ワクチン⇒インフル⇒生ワクチンとうつ時に、生ワクチン同士が4週以上空くようには注意して下さい)

従来は間隔を空ける必要がありましたので、インフルエンザワクチン接種の際に、受付で母子手帳を確認して「水痘の接種から2週間しか空いていないから打てません」ということがありましたが、10月以降はそのようなことはなくなります。
他のワクチンと関係なく、インフルエンザワクチン同士の間隔だけを気にしてスケジュールを立てれば良いわけです。

今後のワクチン接種の予約をされる際の参考にして下さい。

 


インフルエンザワクチン接種について

投稿者 j_sugimoto 日時 2020年9月8日

今シーズン(2020/2021シーズン)の、当院でのインフルエンザワクチン接種について、以下のように決定しました。

<接種期間>

2020年 10月6日(火)~12月24日(木)まで

<接種時間枠>

月・火・水・金曜日:夕診で、一般診察と平行して接種を行います。
予約は(一般診察とは別で)16:00~18:00の日時予約です。

火・水・木・金曜日:朝診で、一般診察と平行して接種を行います。
予約は(一般診察とは別で)9:30~11:30の日時予約です。

(ご注意)

※予約枠は上記の時間帯で日時予約ですが、一般診察と平行して行いますので、接種時間は多少前後する事があります。
接種前後のご予定には充分な余裕をもってお越し下さい。

※昼診でのインフルエンザワクチン接種はありません。

<予約受付>

Web予約:9月23日(水)午後5時~予約受付開始。

※予約ができる時期になりましたら、インフルエンザワクチン予約専用のメニューが出現します。
※PC、携帯、スマホから利用可。当院の診察券をお持ちの方のみとなります。
 当院の診察券をお持ちでない方は、予約できません。

電話・窓口での予約はできません。


<予診票>

インフルエンザ予防接種予診票_v3.1.pdf

<料金>

3000円/回


<注意事項>

○当院では1歳未満の乳児には接種いたしません。

○12歳以下の方は、必ず2回分をまとめてご予約下さい。

○13歳以上の方は、原則として1回接種です。

○他のワクチンとの同時接種は行いません。

○インフルエンザワクチン接種と同時に保険診療や健診なども、行いません。

○公費負担(65歳以上など)には対応しておりません。

○卵アレルギーで完全除去中の方は、原則として接種しません。どうしても接種したいという方は、予約前に一度受診してご相談下さい。
 (少しでも卵を食べて症状がないことを確認できている方は通常通りに予約・接種できます)

○キャンセルされる場合は、必ずご自身でインターネット(web)でキャンセルされるか、クリニックまで電話でご連絡をお願いします。キャンセルされずに予約当日に来院されなかった(無断キャンセル)場合、以後のネット予約および当院でのワクチン接種ができなくなる場合があります。

○来院前にあらかじめ予診表に記入してお持ち頂ければワクチン接種がスムーズです。印刷できる環境がない方には、事前に窓口でお渡しすることもできますので、是非ご利用ください。

○例年、この時期にはインフルエンザ予防接種に関連するお電話でのお問い合わせや予約の申込みが非常に多く、急を要する問い合わせの電話が繋がらないなど、通常の診療に支障がでる事態となっているため、今シーズンはお電話や窓口での予約およびお問い合わせには原則として対応しないこととさせていただきます。ただし、急な病気などやむを得ない事情での予約変更やキャンセルに関しては、従来通りにお電話等でも対応させていただきます。

○Web予約のみですので、当院の診察券をお持ちでない方は予約できませんが、ごきょうだい・ご家族の方で当院の診察券(ID)をお持ちの方とお持ちでない方がおられ、一緒にインフルエンザワクチンの予約をしたいという場合は、事前に窓口でご相談下さい。


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