ブログ記事
あけましておめでとうございます。
投稿者 j_sugimoto 日時 2017年1月3日
あけましておめでとうございます。
2017年も、さらに質の高い医療を提供できるように、スタッフ一同、頑張ります。
今年も「すぎもとキッズクリニック」をよろしくお願い致します。
年末のご挨拶
投稿者 j_sugimoto 日時 2016年12月30日
当院は、12月29日(木)で2016年の診療は終了しました。
皆様にとって、今年、2016年はどのような年でしたでしょうか。
当院にとって2016年は、開院して1周年が過ぎ、2年目を迎えた年でした。とても多くの患者さんにご来院いただき、出会いに恵まれた、充実した1年だったと感じています。
ご来院いただきました患者さんとご家族の方々に、また業務を支えて頂いたスタッフや業者さんなど関係者の方々に、深くお礼申し上げます。
来年が、皆様にとって佳い年となるよう、お祈り申し上げます。
来年も引き続きよろしくお願いいたします。
それでは、良いお年をお迎えください。
感染性胃腸炎の登園許可
投稿者 j_sugimoto 日時 2016年11月18日
感染性胃腸炎のお子さんが増えています。
いわゆる「胃腸かぜ」「お腹のかぜ」とも言われる胃腸炎です。
感染性胃腸炎は、「法定伝染病」ではありません(0-157など一部のものを除く)から、水痘やおたふくかぜのように明確な「出席停止期間」がありません。
「症状が回復し状態がよくなれば」登園許可できることになっています。
これではよくわからないので、一応の具体的な基準があります。
以下はあくまでも法律で明確に定められているわけではありませんが、常識的に判断されるべき目安です。
○発熱
発熱がある間はもちろんダメです。
また、朝下がって夕方からまた熱が上がる、ということはよくありますので、丸1日下がっているのを確認してから、次の日に登園許可、となります。
○嘔吐・嘔気
吐いている間はもちろんダメです。
吐いていなくても、食べない、というのは胃腸がまだ普通の状態ではありません。
「丸一日以上、嘔吐が治まっていて、食事をいつもの半分以上食べられて、食べた後も腹痛もなく気持ち悪いとも言わない」のが目安です。
○下痢
いつもの元気なときの便の性状と回数になるのが理想です。しかし、完全に戻るにはかなりの時間(1~2週間)かかることも多いですので、そこまで待つのは大変です。
少なくとも水様便の間はダメです。
では、軟便は?回数は?という話になりますが、「水様ではなく、健康な時と同じとまではいかなくてもある程度形のある便で、回数もほぼ元気な時と変わらない、あるいは丸一日便が出ない」ぐらいが目安です。
登園許可の基準は概ね上記のような状態なのですが、ぜひ知っておいて欲しいのは、症状がよくなっても、便の中などにはまだウイルスが出続けます。1ヶ月ぐらいの間、ウイルスの排泄が続く場合も珍しくありません。ですから、症状がすっかりよくなっても、胃腸炎感染中およびその後かなり長い間、トイレの後の手洗いをしっかりしたり、おむつ交換の時も感染予防(汚物処理・手洗いなど)をきちんとしないと、まだまだ感染源になることがあります。
胃腸炎の登園許可は、「感染力なしなので登園許可」ではないのです。
時々、「うつらない証明書を書いてもらうように」と言われる保育園があるようですが、あくまでも、人にうつさない、ということではないので、「感染しないという証明」は書けません。
「登園許可書」なら書けます。
「行ってもいいでしょう」とは言えるけど、「うつらない保証」はできません、ということです。
どうしても絶対にうつらない状態になってから登園して下さい、と言われてしまうと、じゃあ1ヶ月はお休みして下さい、と言わざるを得ません。それでは保育園の存在価値が問われると思いますが、それでも、どうしてもと言われた場合は、やむを得ないです。
また、「ノロウイルスの検査をしてもらいなさい」「ロタウイルスの検査をしてもらいなさい」などと保育園や幼稚園から指示を受けて受診される方もおられます。そして、保育園あるいは幼稚園の先生も、親御さんも、「ノロあるいはロタなら休まないといけないが、そうでなければ休まなくても良い」と考えておられる方が時々(結構)いらっしゃいます。
しかし、実際には、ノロであろうがロタであろうがどちらでもなかろうが、あるいはアデノウイルスであろうが、感染性胃腸炎と診断した時点で、上記の出席停止に対する基準・考え方は全く同じです。
現実的には、幼稚園・保育園は、うつる・うつらないとか、診断(何ウイルスか、など)に極端にこだわるのではなく、「病院・医院から登園して良いと言われるまではお休みして下さいね」という対応をしていただいて、検査するかどうかも含めて、判断をこちら(医療者)に任せていただくのがお互いのためだと、私は思っています。
MRワクチンの在庫が確保できません。
投稿者 j_sugimoto 日時 2016年9月24日
既報通り、MR(麻しん風しん)ワクチン流通量が不足し、入手が大変困難になっています。
そのため、MRワクチンのネット予約を中止させていただいています。
既に、任意接種(自費)の方は全てお断りしており、定期接種の方も、2期(年長児)の方は接種待ちリストに登録(入荷次第こちらから連絡させてもらう待ち予約)とさせていただいて、医学的に最優先で接種すべき1期(1歳児)の方への接種は続けていました。
しかし、入手困難な状態が続き、どうしても在庫が確保できなくなっていますので、1期(1歳児)の方も、接種待ちリストに登録(入荷次第こちらから連絡させてもらう待ち予約)とさせていただきます。登録をご希望の方は、診療時間内にクリニックにお電話でお申込み下さい。
1歳での初めてのMRワクチンは大変重要で、少しでも早く接種した方が良いため、当院でも入手のための努力は続けますが、もし、当院よりも早く他院で接種が可能であれば、接種可能な医療機関で接種していただければと考えます。
このようなことを提案するのは大変不本意なのですが、お子さんのために最善の方法をとっていただきたいと思いますので、あえて書かせていただきます。
本来であれば、小児科医として、また数多くの感染症を診てきた医師として、定期接種のみならず、大人・子どもを問わず免疫がないかもしれないたくさんの方に少しでも早くMRワクチンを接種するように呼びかけたいところなのですが、肝腎のワクチンがこれだけ不足していると、どうしようもありません。
MRワクチンは増産される予定とのことですので、流通が再開され次第、接種待ちリストの方から順次接種を行い、予約も再開します。
ご迷惑をおかけして大変申し訳ありませんが、ご理解いただければ幸いです。
インフルエンザワクチン接種について
投稿者 j_sugimoto 日時 2016年9月13日
今シーズン(2016/2017シーズン)の、当院でのインフルエンザワクチン接種について、以下のように決定しました。
<接種期間>
2016年 10月17日(月)~12月21日(水)まで
<接種時間枠>
月・火・水・金曜日:夕診で、一般診察と平行して接種を行います。
予約は(一般診察とは別で)16:00~18:30の日時予約です。
火曜日:昼診(14:00~16:00)をインフルエンザワクチン専用枠とします。日時予約です。
(ご注意)
予約枠は上記の時間帯で日時予約ですが、昼診は短時間に多数の方がお越しになられますし、夕診は一般診察と平行して行いますので、接種時間は多少前後する事があります。
接種前後のご予定には充分な余裕をもってお越し下さい。
<予約受付>
Web予約:9月21日(水)午前9時~予約受付開始。
※予約ができる時期になりましたら、インフルエンザワクチン予約専用のメニューが出現します。
※PC、携帯、スマホから利用可。当院の診察券をお持ちの方のみとなります。
電話・窓口での予約:10月3日(月)より開始
※電話・窓口での予約の受付は朝診(9:00~12:00)の時間帯に限ります。
<予診票>
<料金>
3000円/回
<注意事項>
○当院では1歳未満の乳児には接種いたしません。
○12歳以下の方は、必ず2回分をまとめてご予約下さい。
○他のワクチンとの同時接種は行いません。
○インフルエンザワクチン接種と同時に保険診療や健診なども、行いません。
○公費負担(65歳以上など)には対応しておりません。
○インフルエンザ以外のワクチンを直近で接種している方は、生ワクチンからは4週間、不活化ワクチンからは1週間、間隔を空ける必要があります。間隔が空いていない場合は、当日お越し頂いても接種できませんので、ご注意下さい。
○卵アレルギーで完全除去中の方は、予約前に一度受診してご相談下さい。
○キャンセルされる場合は、必ずご自身でインターネット(web)でキャンセルされるか、クリニックまでご連絡をお願いします。キャンセルされずに予約当日に来院されなかった場合、以後のネット予約ができなくなる場合があります。
○来院前にあらかじめ予診表に記入してお持ち頂ければワクチン接種がスムーズです。印刷できる環境がない方には、事前に窓口でお渡しすることもできますので、是非ご利用ください。
麻疹のニュース
投稿者 j_sugimoto 日時 2016年8月28日
恐ろしいニュースです。
麻疹で発熱後の発疹が出現した日に、大きな規模のコンサートに行った19歳の男性がいた、というニュースがありました。
参照:麻疹感染の男性が巨大コンサートに参加…厚労省、感染拡大の注意喚起(https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160825-OYTET50041/ )
麻疹は、空気感染する、感染力が非常に強い感染症です。このため、同じコンサートに参加した他の人などにも、二次感染の発生が心配されています。
コンサート会場、あるいはその前後の交通機関、あるいはコンサート会場以外にも件の男性が立ち寄った場所などで、他の人に感染させてしまっている可能性があります。
報道されている以上の情報はありませんので、詳細はわかりませんが、件の男性は兵庫県西宮市内在住で、8月14日に千葉市の幕張メッセで開かれた巨大コンサートに参加しており、13~15日に東京都内、神奈川県内も訪れたということですので、かなり広範囲にウイルスを撒き散らしているであろうことは想像できます。
麻疹はワクチンが非常に有効な病気ですので、ワクチン接種しておりちゃんと抗体ができている人には、感染しません。もちろん、一度かかったことのある人にも感染しません。
ということで、感染が拡大するかどうかは、件の男性と接触のあった人(空気感染しますので、近くを通っただけの人も含む)の中に、ワクチン接種済だが抗体が十分にできなかった人、できた抗体が消えてしまった人、ワクチン未接種の人が、どれだけいたか、が鍵になります。
日本の麻疹は、2015年3月27日に「排除状態」と認定されていました。
「排除状態」というのは、国内での発生が3年以上抑え込まれていることを条件に、WHOによって決定されます。
しかし、世界には麻疹が抑え込まれていない国がまだいくつもあります。
だから、日本では「排除状態」だからといって、ワクチンを打たなくても良い、という話にはならないわけです。
かつての天然痘のように、世界中が「排除状態」になってはじめて、もうワクチンは打たなくても良いのでは、という話になります。
麻疹といえば発疹のイメージがあると思いますが、通常、発疹が出てくるのは発熱後3~4日たってからです。
麻疹ウイルスに感染すると、10日前後(8~14日)の潜伏期間を経て、まず、カタル期と言われる時期に入ります。
この時期には38~39℃の発熱が続いて、全身倦怠感、上気道炎症状(咳や鼻汁などの風邪症状)、結膜炎症状が出現、次第に増強します。
乳幼児では下痢、腹痛等の腹部症状を伴うことも多いです。
実は、カタル期には、上記の症状だけで、診察しても、風邪でしょう、という話になることが多いです。
頬粘膜(口の中)に、コプリック斑と言われる小さな白い斑点が出来ることが特徴的で、これが確認できれば麻疹の診断ができます。
しかし、コプリック斑が出来ないことも多く、できている期間も短いため、診察で確認できないことも珍しくありません。
カタル期に次いで、発疹期となり、全身に発疹が出てきます。発熱も40℃を超えることが多いです。
その後、3~5日たって(発熱から1週間ぐらい)、回復期に入ると、発疹は退色し、発熱もなくなり、風邪のような症状も軽快していきます。
麻疹は合併症が多く、約30%の割合で合併症がみられます。主なものは、肺炎、中耳炎、腸炎、クループなどがあります。
また、頻度は低いですが、脳炎の合併もあります。
肺炎や脳炎を合併すると、死亡したり、回復しても障害が残ってしまうこともあります。
さらに、麻疹に特徴的な合併症に、「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」というものがあります。
これは、麻疹罹患後平均7~10年で発症します。すっかり元気になって、何年もたって、麻疹のことなどすっかり忘れてしまった頃に発症するのです。
知能障害や運動障害が徐々に進行して、数か月で寝たきりになり、数年から十数年で死に至る、という病気です。
以上のように麻疹はとても恐ろしい病気なのですが、麻疹には、発症してからの直接の治療薬はありません。
したがって、予防接種をきちんと打って、感染しないようにすることが、唯一、かつ、とても有効な対策となります。
もし麻疹のワクチン(MRワクチン)をまだ打っていない方は、どこかでうつってしまう前に、可能な限り早く、1日でも早く、接種しましょう。
ペットボトル症候群
投稿者 j_sugimoto 日時 2016年7月10日
このところ暑い日が多いので、熱中症が多く報告されているようです。
熱中症の予防には水分や塩分の摂取が重要となります。
そこで「ポカリスエット」や「アクエリアス」など(他にもたくさんありますが)のスポーツドリンクを飲む機会が増えるかと思います。
のどがかわくため、他にもつめたい清涼飲料も欲しくなります。
しかし、スポーツドリンクや清涼飲料には糖分が多く含まれています。
糖分の多いこれらの飲料を多量に飲み続けていると、急激に血糖値が上がる「ペットボトル症候群」に陥る危険性があります。
「ペットボトル症候群」の正式な名称は、「ソフトドリンク・ケトーシス」といいます。
糖分の多いソフトドリンクなどを継続して多量に摂取することで血糖値が上昇し、血糖値を一定に保つために必要なインスリンの働きが一時的に低下するために起こります。
インスリンが足りなくなると、吸収したブドウ糖をエネルギーとして上手に利用できなくなり、体の中に蓄えてある脂肪などを分解してエネルギーとして利用せざるを得なくなります。
そのときに「ケトン体」と呼ばれる代謝物が増えてしまうので、血液が酸性に傾きます。
これを「ケトーシス」というのですが、結果として、意識が朦朧としたり、強い倦怠感があったりします。
糖分の過剰摂取のために血糖が上がってしまうと、それを薄めようとしてさらに水分を欲するため、のどが渇きます。
血液の浸透圧も上がるので、浸透圧利尿と言いますが、尿の量も増えます。そうなると、体から水分がさらに出て行ってしまうので、そのせいでさらにのどが渇き、甘い飲み物をさらに飲んでしまうという悪循環に陥ってしまいます。
一般的な清涼飲料水には、 1 リットル当たり 100 グラム前後の糖分が含まれています。
一般的なスポーツドリンクには、1 リットル当たり 40~60 グラム程度の糖分が入っています。
角砂糖1個が4~6グラム前後なので、1 リットルの飲料を一気に飲んだ場合、清涼飲料水では角砂糖 20 個、スポーツドリンクでは角砂糖 10 個をかじったのと同じことになります。
激しい運動をする場合や、長時間運動を続ける場合、糖分を増やしてエネルギーを補給する必要があります。
塩分も汗をかくことで大量に喪失するため、多くとる必要があります。
スポーツ飲料は、このような場合を考えて、そういう場合にちょうど良いように、成分ができています。
ですから、通常の日常生活の中で摂るには適切でないのは当然です。
日常の生活における脱水の予防には、スポーツドリンクや清涼飲料水だけでなく、お茶やミネラルウォーターなどの糖分の入っていない飲み物と交互に摂ったりするなどの工夫が必要です。
また、乳幼児は、糖分が多すぎると上記の「ペットボトル症候群」を起こしますが、少なすぎると低血糖を起こします。
食事が採れない時には、経口補水液(OS-1など)を上手に摂ることが大切です。
時と場合に応じた適切な水分摂取を行うことで、「ペットボトル症候群」や熱中症を上手に予防しましょう。
妊娠中の食事と子どものアレルギー
投稿者 j_sugimoto 日時 2016年6月30日
先日、外来で質問されたのですが、
「妊娠中に特定の食品(卵や牛乳など)をたくさん食べたら、赤ちゃんがアレルギーになる」という話を聞いたのですが本当ですか?
という質問がありました。
妊娠中の食事制限はその後の赤ちゃんのアレルギーとは何も関係ない、というのが、現在の考え方の主流です。
アレルギーは体質の素因も大きいので、両親もしくは、母親、父親のどちらかにアレルギーがあれば、子どもにアレルギー体質は遺伝することがあります。
ただし、もちろん、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギーの病気が必ず発症するというわけではありません。
アレルギーについては、まだまだ、はっきりとわかっていない部分も多いのですが、発症するかどうかは環境や生活習慣、食事など、さまざまな要因が関係します。
「妊娠中に牛乳や卵、大豆をとらないように食事制限したほうがアレルギーの発症が抑えられる」という報告も過去にあったのは事実です。しかし、その後の研究や報告で、これについてはどうも違うらしいということがわかっています。
つまり、現在では、「お母さんが妊娠中に卵や牛乳をとってもとらなくても、赤ちゃんのアレルギーの発症率は変わらない」と言われています。
食べ過ぎや飲み過ぎには注意が必要ですが、「赤ちゃんのアレルギーを心配して食事制限をするよりも、バランスよく栄養をとったほうがいい」というのが、いまの考え方の主流になっています。
大切なのは偏らない食事を心がける事、特定の食材ばかり極端に食べ過ぎないように1日の摂取量を考える事です。
また、食品添加物はアレルギーと関わりがありますので、例えばインスタント食品、ファーストフード、スナック菓子などは、食べ過ぎないように注意が必要です。
ヒトメタニューモウィルス
投稿者 j_sugimoto 日時 2016年5月19日
最近、「ヒトメタニューモウイルス」による上気道炎・気管支炎が流行っているようです。
殆どの方にとって、あまり聞きなれないウイルスの名前かもしれません。毎年3~6月ぐらいの、インフルエンザの流行が終わった後ぐらいの時期に流行することが多いウイルスで、簡単に言ってしまうと、「風邪の一種」です。
特に大きなお子さんでは重症化することは殆どなく、ごく普通の風邪症状で終わることが多いのでまず心配ありません。
小さなお子さんでは熱が長引いたり、咳がひどいなど、気管支炎や肺炎に近い症状になりやすい傾向があります。
このウイルスは、迅速検査で診断できます。
しかし、検査してわかっても、特に特別な治療法があるわけではなく、普通の風邪と全く同じで、対症療法のみです。
ですから、このウイルスが流行っているとか、このウイルスの感染の疑いがあるときいても、神経質になる必要はありません。
一部の保育園などでは「園でヒトメタニューモウイルスがでたから、この子も検査してもらってきて」などと言われるようですが、ほとんどが普通の風邪ですし、保険が効くのは6歳未満のお子さんでレントゲンで肺炎が強く疑われる場合のみとなっています。
特に治療もないのになぜ検査があるのか、ですが、この検査の目的は、少しぐらい気管支炎や肺炎の症状があっても、ヒトメタニューモウイルスであれば、全身状態が悪くない限り入院する必要もなく、また抗生剤を使う必要もないので、その判断をするために、検査をするのです。
つまり、ヒトメタニューモウイルスだから大変だ、というよりも、ヒトメタニューモウイルスだから風邪として治療するだけで良さそうですね、ということです。
集団内の感染をくいとめようといくら検査しても、軽い風邪症状のこども(や大人)の方が遥かに多いので、その人達を通じてどんどん感染は拡大します。
また、感染を食い止める必要があるかというと、「どんな風邪も絶対にひかせない」というのは不可能であることと同じように、ヒトメタニューモウイルスの感染を食い止めるというのは、現実的ではありません。風邪の一種ですから。
以上のようなウイルスですので、周りでこのウイルスの名前を聞いても、冷静に対応することが大切です。
開院1周年
投稿者 j_sugimoto 日時 2016年5月1日
当院が開院して、本日、5月1日でちょうど1年が経ちました。
おかげさまで、たくさんの地域の皆様方に来院して頂けるようになり、無事に1周年を迎えられました事に、大変感謝しています。
ありがとうございます。
この1年間を振り返りますと、本当に色々な事がありました。
特に、開院して間もない頃には、わからないことばかりで、せっかくご来院いただきました患者さんに、こちらの不手際でご迷惑をおかけしてしまった事もあったかと思います。申し訳ありませんでした。この場をお借りしてお詫び申し上げます。
スタッフ一同、そのたびに反省と勉強を積み重ねて参りましたが、まだまだ至らない点もあるかと思いますので、さらにより良い医療を提供できますように、今後一層、努力して参りたいと思っております。
今後ともよろしくお願い致します。
「子は宝」と申しますが、子ども達の笑顔は、本当に宝物です。
診察を終えて帰られる時の、お子さんと親御さんの笑顔は、私をはじめクリニックのスタッフに、この上ない喜びを与えてくれます。
いつもありがとうございます。
当院スタッフ一同、少しでもお子さんや親御さん達の笑顔が増えるよう、全力でサポートさせて頂きます。
環境はご家庭によって様々です。できるだけ、各ご家庭の環境や事情を考慮した、治療法や予防法を提供・提案させて頂き、病気のことだけでなく、ささいな悩みや心配事などにもお答えしていきたいと思っていますので、お気軽に受診してご相談下さい。
これからも「すぎもとキッズクリニック」をよろしくお願い致します。
溶連菌感染症
投稿者 j_sugimoto 日時 2016年4月18日
最近、インフルエンザは殆どみられなくなりましたが、溶連菌感染症の患者さんが増えています。
溶連菌感染症は、正しくは「A群β溶血性連鎖球菌」という細菌による感染症のことです。短くして「溶連菌」と呼んでいます。
症状は、通常は、発熱・咽頭痛で発症し、初期には普通の風邪とほとんど区別がつきません。吐き気や腹痛をともなう場合もあります。典型的な症状が出ると、イチゴのようなブツブツの舌(いちご舌)になり、紅い細かい発疹(紅斑)が皮膚にでてきます。全身に出る場合もありますし、どこか、あるいは数カ所に出る場合もあります。
後に、治る過程で、指先の皮膚が薄く細かく剥けることがあります。
診断は、喉に特徴的な赤みがあることで疑い、迅速検査で診断するのが普通です。
喉の赤みと流行状況や症状から、検査をせずに診断することもあります。
また、最近は、喉の赤みが溶連菌に特徴的な赤みには見えず、ウイルス性の咽頭炎(いわゆる「のどかぜ」)の時とかわらないように見え、「念の為に」検査をしてみたところ、陽性なので溶連菌感染とわかった、という患者さんも多いように思います。
溶連菌感染症が怖いのは、重症化しやすく治りにくい合併症をおこすことです。熱も下がって治ったと思っている頃に、血尿が出たり、顔や脚がむくんだりすることがあります。溶連菌感染症後の急性糸球体腎炎です。これを発症してしまうと、入院安静が必要で、きわめてまれではありますが、命にかかわる場合もあります。
また、「リウマチ熱」という合併症もあり、これは心臓に後遺症を残すことがあります。
溶連菌そのものは、抗生剤がとてもよく効くので、熱や咽頭痛などの症状は薬をのめばすぐ(1~2日で)おさまる場合が多いのですが、少しでも菌が残っていると、上記の合併症を引き起こす可能性が高くなってしまうので、10日間ぐらいの期間(抗生剤の種類によっても異なります)、しっかり薬を内服して、確実に治癒させることがとても大切です。
また、1日でも抗生剤を飲むと、検査で菌を証明することができなくなります。検査に出ないから治っているのかというとそうではなく、検査に出る喉の表面にいる溶連菌だけがなくなってしまい検査には出なくなりますが、体の中にはまだ溶連菌が残っていて、治療をやめてはいけないのに検査でわからない、ということになってしまいます。
ですから、抗生剤内服前に診察・検査をして、きちんと診断をする必要があります。
「熱があったらとにかく抗生剤を飲む」というような、いい加減なことをしていると、この病気(などの診断・治療が大切な細菌感染症)を見逃してしまうことになります。
発症から2週間ぐらい、つまり抗生物質を飲み終えた後ぐらいに、尿検査をして、腎臓に異常がないことを確認しておくのが望ましいです。
もちろんそれまでに、血尿や体のむくみ、なんだか元気がない、息がきれやすくなったなど、気になる症状があれば、適宜、受診して下さい。
普通は、抗生剤内服後、解熱して丸1日程度たてば、少なくとも喉の表面の、うつる場所にいる菌はほぼ除菌されますので、登校や登園は可能になります。
しかし、発熱が続いていたり、元気がないときは、十分薬が効いていない場合もありますので、症状が落ち着くまで安静を保つことが必要です。
また、きちんと薬を飲んでいるにもかかわらず、3日たっても熱が下がらない時は、処方されている抗生剤の効きにくい菌かもしれませんので、もう一度受診して下さい。
飛沫感染ですので、予防には、手洗い・うがいを徹底して下さい。マスクも有効です。また、患児と同じコップや食器を使うことは避けて下さい。
溶連菌は感染力が比較的強いので、兄弟・姉妹の方は感染している可能性があります。
潜伏期間は通常、2~5日程度と考えられています。喉の痛みや発熱などの症状が出てこないかを、注意して観察してください。症状の出現があれば、受診して下さい。
胃腸炎が増えてきています。
投稿者 j_sugimoto 日時 2016年4月4日
最近、インフルエンザの患者さんはかなり減ってきましたが、急性胃腸炎の患者さんがやや増えてきています。検査をするとロタウイルスが検出されることが多いです。
ロタウイルスは、乳幼児の感染・発症率が高い感染性胃腸炎です。好発時期は2~4月ですので、まさに今の時期に流行しやすいウイルスです。
ロタウイルスの特徴ですが、もう一つの有名な急性胃腸炎のウイルスであるノロウイルスと較べて、吐き気や嘔吐は比較的軽めなことが多いのですが、下痢は激しいことが多く、熱も高め(38℃以上が多く、40℃近いこともあります)になりやすい傾向があります。
また、症状が長く続きやすいのもロタウイルスの特徴です。
ノロウイルスの場合は、激しい嘔吐で始まりますが、治まってくると回復も早いことが多いです。しかし、ロタウイルスの場合、ちょっと症状が良くなってきたと思ったらまた吐いて下痢してお腹も痛い、といった感じでだらだらと何日も続いて、結局は点滴や入院が必要になる患者さんは、ロタウイルスの方が多い、という印象です。
便が白くなるという特徴が有名ですが、実際には白くならないことも多く、逆に他のウイルスで白くなることもありますので、あまりアテになりません。
ただ、今までにもブログに書いたことがありますが、ロタウイルスでも他のウイルスでも治療や対処は全く同じです(ロタウイルスの特効薬はありません)ので、ロタウイルスかどうかにこだわることには、あまり意味はありません。当院でロタウイルスの検査をすることもありますが、ロタであることを確認することで、細菌性腸炎や他の腸の病気でないことを確かめる、というイメージです。
ロタウイルスでなければ嘔吐や下痢があっても保育園に行って良い、ということにもなりませんのでご注意ください。
また、ロタウイルスは、脱水以外に、まれですが、痙攣や脳炎・脳症など、合併症の恐れもあります。
水分が全く取れなくて尿が殆ど出ない時や、顔色が悪くぐったりしている時は、迷わず受診して下さい。
乳幼児に多いことから、おむつをつけているお子さんも多いので、下痢のためにおむつかぶれになって、お尻が赤くただれてしまうお子さんもいます。その場合は、おしりふきで拭くよりも、ぬるま湯で優しく洗い流してあげた方が、肌の負担が少ないです。その後で、軟膏を塗るようにすると、速やかに良くなることが多いです。
おむつかぶれになりやすいお子さんは、軟膏も処方しますので、受診された時に教えて下さいね。