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乾燥性の皮膚炎とスキンケア

投稿者 j_sugimoto 日時 2017年1月9日

冬場で空気が乾燥するこの時期は、皮膚の状態が悪くなるお子さんが増えます。

皮膚のいちばん外側の部分を角質層といいます。
角質層には外部の刺激から肌を守る機能があるのですが、こどもの角質層は、大人の1/2~1/3の厚みしかありません。
大人でも厚みが約0.02mmしかないといわれている角質層は、皮脂膜でおおわれることによって乾燥から守られています。
そして、皮脂の分泌量が、大人と比べてこどもはかなり少ないのです。

角質層が乾燥する→バリア機能が低下する→外部の刺激に敏感になる→かゆみが生じる→皮膚をかく→角質層が傷つく→さらにバリア機能が低下する・・・
という悪循環に陥り、お肌はカサカサ、湿疹や皮膚炎になります。

このような悪循環を防ぐためには、適切なスキンケアが大切です。
スキンケアとは、大きく言えば、肌を清潔にすることと、肌を保湿すること、です。

洗う時は、肌に優しく刺激の少ない石鹸やボディシャンプーなどの洗浄剤を使って下さい。大人用のものは洗浄作用が強い分、肌への刺激も強いので、赤ちゃん用あるいは子供用、低刺激タイプ、アトピー性皮膚炎用、などと書かれているもののうち、お子さんの肌にあったものを探すのがお薦めです。泡タイプのものが洗いやすくてお勧めだと思います。

スポンジやナイロンタオル等は肌を傷つけてしまいやすいので、洗浄剤をしっかり泡立ててから、優しく手で洗うのがベストです。
すすぎは弱めのシャワーで、泡が残らないようにしっかりと洗い流します。洗浄成分が残っていると肌トラブルにつながるので、しっかり洗い流しましょう。

外来では、よく「石鹸は使わないほうが良いんですよね?」という質問を受けますが、肌の汚れをきちんと落とすには、石鹸を使わないより、上記のように刺激の少ない、肌に優しい洗浄剤を使った方が良い結果になることが多いです。
ただし皮膚の状態によっては使わない方が良いと判断することもありますので、迷った時には主治医と相談することがお薦めです。

お風呂の後には、角質層を保護している皮脂が少ない分を、保湿クリームやローションで補うことが大切です。
皮膚の乾燥を防ぐために、お風呂から上がったらできるだけ早く、軟膏を塗りましょう。
10分も経つと皮膚の水分量はお風呂に入る前と変わらなくなってしまいます。
お風呂から出たらすぐに保湿、を習慣づけて下さい。

湿疹のある部分の皮膚は吸収がよいので、すり込む必要はありません。
また、湿疹がある部分はデコボコしているため、軟膏をあまり薄く伸ばしたり、すり込んでしまうと、でこぼこの出っぱっている部分に薬がつかず、効果が出にくくなります。多めに塗ることを意識して下さい。
湿疹のないところは皮膚にデコボコがないので、少なめの量でよく効くことが多いです。

一旦乾燥肌になってしまうと、保湿剤を塗ってもすぐに乾燥してしまいます。
しかし、あきらめずに根気よく何度も保湿剤を使っていると、少しずつ少しずつ、乾燥しにくい肌になっていきます。
逆に、すぐに効かないからといって、塗るのをさぼってしまうと、上記の悪循環が始まって、ますます乾燥しやすい肌になって湿疹や皮膚炎も悪化してしまいます。
毎日根気よく、保湿を続けましょう。