新型コロナの検査について
1月26日に「お知らせ」にも書きましたが、昨今の新型コロナの感染拡大のため、全国的に検査の数が急激に増加、検査キットが大幅に不足しており、当院では現在、検査がほぼできない状況にあります。
当院では、従来、「抗原定性検査キット」と、「ID NOW」というPCRに近い検査(厳密にはPCRとは違うのですがPCRと同等の核酸増幅法による検査)を院内でできる体制にしており、いずれも15分程度の待ち時間で結果がわかります。
症状や経過時間などを勘案して、必要に応じて使い分けていましたが、現在、どちらの検査キットも不足しており、発注してはいるのですが、いつ入荷するか全くわからない状態となっています。
検査キットの残りがごくわずかとなっているため、当面の間は、診察の結果、医療的に検査が絶対に必要な患者さん(重大な基礎疾患があり現在の症状も強い、確実に入院が必要な状態など)のみに限って検査を行います。
検査は本来は診断のために用いられるものなのですが、多くの方が不安を抱えている状態ですので、今の日本では、いや世界中で、不安を解消するためにも使われています。
医療用にPCR検査を行う検査会社もほぼパンク状態です。本来であれば翌日には結果が出る検査ですが、現状、3~4日後に結果が届くような状態ですので、PCR検査を外注している医療機関でも、診療業務に支障が出ています。
また、薬局等で配布・販売されている抗原検査キット(医療機関でも使われる体外診断用医薬品の他、研究用とされる廉価なものなど)も不足しているようです。
このコロナ検査ですが、発熱初日に他院や自宅で検査をして陰性だった方が2日ぐらい経過してから当院を受診されて、症状からコロナの可能性があると考えて再検査したところ陽性が判明した、という方が今までに何人もいらっしゃいます。
コロナ検査は、検査をする時期も、検体採取の方法も、重要です。たとえ同じ検査キットを使っても、それらに気をつけることで、精度は大きく違ってきます。
当院では、発症からの時間等、検査に適切な時期を見極めた上で、痛いのですが我慢していただいて、最もウイルス量が多いとされる鼻咽頭(鼻の一番奥、鼻とのどの境界部分)からしっかりと検体を採取しています。
小児の場合は特に、唾液では検査の精度も低く、十分な量の唾液を正しく採取することも困難なため、鼻咽頭での検査が望ましいと考えています。
上にも述べたように、新型コロナの検査は、症状がある場合には、不安の解消のためにも、少しでも可能性のある方全員に検査できるのが理想だとは思います。
しかし、検査キットが不足している今、それはできません。
そして、医療的に検査が必要な患者さんに適切に検査ができるように、できれば検査精度の高い医療機関に優先的に検査キットを回していただきたいと思っていますが、それも叶わない状態です。
マスコミは今でも「検査、検査」の大合唱のようですが、私の個人的な考えとしては、少なくとも検査が充足するまでの間は、無症状者や明らかに軽症(少し鼻水と咳がある程度)の方の「念のため」「不安解消のため」の検査はできるだけお控えいただき、少しでも多くの、医療的に必要な方が検査を受けられるように、ご協力いただきたいと考えています。
しかしながら、今現在ほとんど症状がないにも関わらず、どうしても今すぐ検査を受けたいとあちこち駆けずり回って探してでも検査を受ける人、あるいは、医療機関で検査不要と言われた人に対してさえ、少しでも可能性があるならと検査を受けることを強要する保育園や幼稚園、学校、職場などからの、様々な圧力に屈して検査を受けようとする人、そういう人達がたくさんいる限り、残念ながら、おそらく、検査キットの不足はしばらく続くことになるのでしょうね。