ブログ記事
外来での検査について
投稿者 j_sugimoto 日時 2015年5月13日
前回、嘔吐・下痢(急性胃腸炎)について書きましたが、それに関連して、ノロウィルスあるいはロタウィルスの迅速検査についてですが、よく保護者の方からお話が出ます。「保育園から検査してくるように言われた」などです。
しかし、はっきり言いまして、そういった検査は、殆どの場合、必要ありません。
というのは、嘔吐や下痢の原因がノロウイルスでも、ロタウイルスでも、アデノウイルスでも、あるいは(外来でできる迅速検査のない)その他のウィルスでも、急性胃腸炎の治療方針は全く変わりません。
薬も、どのウィルスでも全く同じです。ノロウィルスだから特にこの薬、というものはありません。
ノロウィルスが陽性なら休まないといけないが、ノロウィルスが出なければ下痢がひどくても登園して良い、というわけでもありません。ノロであろうがなかろうが、嘔吐と下痢が治まるまでは登園は控える必要があります。
では、どんな時に検査をするかというと、例えば嘔吐がしつこく続いたり、嘔吐の様子が少し不自然だったりで、「本当にウィルス性の胃腸炎という診断で合っているかどうか、他の病気による嘔吐じゃないか」を確認するために検査することはあります。
しかし、まずウィルス性胃腸炎で間違いないだろう、という時に検査をする意味は殆どありません。
胃腸炎に限らず、治療方針に影響のない検査は、当院では積極的には行いません。
最近検査できるようになった「ヒトメタニューモウィルス」も同様です。これはいわゆる風邪のウィルスです。治療薬や重症化予防薬などは存在しません。対症療法だけです。よって、上記のロタやノロウィルスと同様、検査をする意味があるのは、他の病気じゃないかどうかを確認する時だけです。
インフルエンザや溶連菌感染症など、検査の結果により治療薬が変わったり、治療期間が変わる病気については、お子さんに鼻や喉が痛かったりなど少しの負担がかかりますが、積極的に検査することをお勧めしています。
アデノウィルスについても、入院が必要か、あるいは抗生剤の処方が必要か、という治療方針の判断に必要な場合には、積極的に検査をお勧めします。
嘔吐・下痢症について
投稿者 j_sugimoto 日時 2015年5月10日
こんにちは。すぎもとキッズクリニック院長の杉本です。
今までアレルギーの話が続いたので、今日はアレルギーではなく、小児に多い「嘔吐・下痢」について書きます。
赤ちゃんや子どもの急性胃腸炎は嘔吐と下痢が主な症状で、細菌性の胃腸炎の場合もありますが、殆どがウィルス性胃腸炎です。ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルス、などが主な原因ウイルスです。
ウィルス性胃腸炎というのは、ウィルスが胃腸に入り込んで、胃腸の働きを悪くするために、嘔吐したり、下痢をしたりします。人によって、嘔吐だけ、あるいは下痢だけ、腹痛だけの事もあります。
一般に、「おなかのかぜ」「胃腸かぜ」「はきくだし」「嘔吐下痢症」「腸感冒」など、様々な呼び方で呼ばれています。
なぜ嘔吐するかというと、簡単に言えば、胃腸が病気でしんどいので「休みたがっている」からです。
病気のせいで消化吸収能力が落ちている胃腸に、食べものや飲み物が入ると、「こんなの消化できない!」と、嘔吐して外へ出してしまうわけです。
嘔吐したら、1~2時間は飲み食いしないことをお勧めしています。
お子さんが嘔吐すると脱水症が心配になったり、お子さんが水分を欲しがるので、つい、嘔吐した直後にでも水分を与えたくなりますよね。
しかし、嘔吐した直後に水分を摂取しても、殆どの場合、また続けて嘔吐してしまいます。
少なくとも30分、できるだけ1~2時間程度は飲んだり食べたりせずに、胃腸を休め、ただ寝かせてあげると良いでしょう。
お子さんが水分を欲しがっても、少しの間の「がまん」をしてもらうことも大切です。
嘔吐している時の水分は、「経口補水液」がお薦めです。市販のものでは「OS-1」や「アクアライトORS」があります。ご自宅で、水1リットルに対して、塩3gと砂糖40gを混ぜて作ることも出来ます。これらを用意していただいて、お子さんに、ゴクゴクと飲ませないで、保護者がティースプーンあるいはおちょこのようなもので、一杯ずつ与えて下さい。一口与えたら数分間待って、また一杯与えて下さい。そのようにして、1時間程度かけて、100ccを飲みます。100cc飲めたらお子さんも保護者も一時間休憩して下さい。この一時間は胃腸の仕事を減らしてさきほどの100ccを確実に体に吸収させるための時間です。欲しがってもまた「がまん」していただいた方が良いです。
上記のようにして、様子をみながら、吐き気が治まってきたら徐々に水分を摂る量を増やして、ゴクゴクと水分を摂取しても嘔吐しないようになったら、お米(お粥)、パン、うどんなどの穀類を補給しましょう。穀類を採ると体のエネルギーとなり、疲れやだるさが取れます。お肉や野菜などはもう少しの間、控えた方が安心です。食べられるようになっても、胃腸の働きはまだまだ100%までには回復していませんから、少量ずつ与えるようにしましょう。
赤ちゃんの場合、母乳は飲めれば胃腸にも優しいので、お薦めです。ただし、母乳は一回に胃腸に入る量が多いことが難点です。可能なら搾乳して少しずつ与える方が安心です。
粉ミルクは、与えるなら薄めず通常通りの濃さで良いのですが、母乳よりもお腹への負担は大きいため、胃腸炎の程度と下痢の長引き加減によっては、一時的に粉ミルクを止めていただくようにお話しする場合もあります。
少量頻回の水分摂取を行っても嘔吐が続く時は、脱水の程度が強い場合、あるいはウィルス性胃腸炎以外の原因による嘔吐の可能性がありますので、ご自宅で我慢しすぎないで、医療機関を受診して下さい。
一度、嘔吐が始まった初期にきちんと診察を受けていても、病初期には病気の特徴的な症状が現れないことも多いし、経過中に他の病気を併発している可能性もありますので、診断が間違っている、あるいは嘔吐の原因そのものが変わっている可能性があります。嘔吐や極端な不機嫌が続くときは、何度でも繰返し医療機関を受診して下さい。
食物アレルギー②乳児湿疹との関係
投稿者 j_sugimoto 日時 2015年5月6日
今日も食物アレルギーのお話です。今日は、食物アレルギーと乳児湿疹・皮膚炎との関係について書きます。
アレルギーはもともと、体の中に不要な異物を入れないための仕組みです。とくに必要のないものが、何度も繰り返し体の中に入ってくると、その物質に対してアレルギーを持つようになります。
昔から、赤ちゃんの頃に湿疹が強いと、食物アレルギーを起こしやすいということが経験的に分かっていました。
最近まで、「アレルギーがあるから、アレルギーが強いから、湿疹・アトピー性皮膚炎ができる」と考えられていました。
しかし、乳児湿疹というものは、アレルギーで起こるものではありません。湿疹は皮膚の下の炎症です。生まれつき皮膚が弱いお子さんは、さまざまな刺激が皮膚の下にまで伝わりやすく、乳児湿疹ができやすいのです。つまり、乳児湿疹がひどいお子さんは、生まれつき皮膚が弱いという性質を持っているわけです。
皮膚は、外界から体を守る「バリア」の働きをしています。
しかし、上記のような、皮膚が弱い(=乳児湿疹が強い)お子さんは、その皮膚のバリアが十分に働かない、ということになります。
例えばですが、ご家庭で卵料理をすると、たくさんの卵が飛び散っています。もちろん、目には見えないレベルでの話です。実際、家のほこりを調べると、たくさんの食物の、ごくごく小さな破片が見つかります。
また、おうちの方(お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、ご兄弟、などなど)は、ご飯を食べた後、必ず綺麗に手を洗ってから赤ちゃんを触りますか?
通常、食事の前はともかく、後にしっかり手を洗ってからでないと赤ちゃんを触らない、という人は殆どいないのではないかと思います。
皮膚が丈夫だと、ちょっとやそっと触ったところで、体の中に卵の破片が入り込むようなことは、まずありません。
しかし、乳児湿疹があると、卵の破片が、皮膚のバリアを通り抜けて、体の中に入りこんでしまいます。
しかも、乳児湿疹があると、皮膚の下には炎症性の細胞が集まっています。これらの細胞が働くことによって、アレルギーの時に働くIgE抗体を作ってしまいます。
これが、アレルギーの原因になる。ということが、最近になって、わかってきました。
ですから、食物アレルギーを防ぐためには、湿疹・皮膚炎をしっかりとコントロールすることが重要です。しっかりコントロールして、赤ちゃんの肌からさまざまな異物を入れないようにする、ということですね。
具体的には、
一つには、ステロイド軟膏などを用いて、皮膚の炎症をしっかりと抑えてやること。
そして、一つには、保湿剤を適切に用いて、皮膚を強く保つこと。
そういったスキンケアが、とても大切です。
食物依存性運動誘発アナフィラキシー
投稿者 j_sugimoto 日時 2015年5月5日
食物アレルギーの中に、「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」という病態があります。
ある特定の食べ物を食べた後に運動することによって、アナフィラキシー状態が引き起こされる病気です。
運動の強さは、激しい運動により引き起こされることが多いのですが、時には散歩などの軽い運動で起きることもあります。
運動中の典型的な症状や、特定の食物を食べて運動するといつも症状が出る場合には、比較的容易に診断が可能なことが多いです。
一部の専門施設では、食物を摂った時に、心臓の検査で用いるトレッドミルの上を歩いたり走ったり、エルゴメーターという自転車のような機械を使って運動負荷をかけた時に、血液中のヒスタミンが上昇することを確認することで、診断をより確実にすることもあります。
小麦などの疑わしいアレルゲンの、血液中のIgE抗体を測定することで確認することもありますが、血液検査では陽性にでないことも多いので、臨床的な状況と症状を十分に患者さんに聞くことが診断のためにはとても重要になります。
運動中に症状が出現した場合にはただちに運動を止めて安静を保つことが大切です。じんま疹・呼吸困難・血圧低下・意識消失などのアナフィラキシー症状が出現する病気ですので、少しでも怪しい症状が出始めたらすぐに運動をやめて下さい。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーのある方は、食事の後2時間は安静にして運動をしないことで予防できます。
また、症状が出た時に備えてあらかじめ薬を処方してもらって携帯しておくと良いでしょう。その薬を使ってもどんどん症状が進む場合には、ただちに医療機関を受診して下さい。
上記のような病気ですが、ある時期は症状が強く出ていても、いつの間にか症状が出なくなって、薬も必要とせず、通院しなくて済むようになる患者さんも沢山います。
食物アレルギー①
投稿者 j_sugimoto 日時 2015年5月3日
今日は少し、食物アレルギーのお話を書かせていただきます。
よく外来で患者さんに言われるのが、
「アレルギーがありそうなので、血液検査をして下さい」
あるいは、
「(今までに他の病院・医院で)アレルギーの血液検査をして、卵と牛乳が陽性だったので食べていません」
というようなお話です。
血液検査はもちろん大切です。
大いに参考になります。
ただ、残念ながら、100%確実なものではありません。
私は、今の医学の限界であると考えています。将来、もっと研究が進んで、さらに有用な検査が出てくる可能性はありますが、少なくとも現在使われている血液検査は、「参考」にはなりますが、「完全にわかる」わけではありません。
検査の値が相当高い時には要注意ですが、高くても食べることができる場合もあります。
逆に、検査の値が低くても、アナフィラキシーなどの激しい症状が出ることがあります。
実際に食べ物でどんな症状が出たかがとても大事です。検査はあくまでも、それ以前に「参考」にするものです。
以上をふまえて、私の場合、診療は以下のように進めます。
2. 検査 (血液検査など) を行って、その結果を参考に、今後の方針を立てます。
3. 食べて良いのか、食べるならどの程度からどのように始めるのか、あるいは完全に禁止・除去すべきなのかを十分に検討します。 必要性と危険性を考慮して、食物経口負荷試験の可否を決めていきます。
無事に開院しました!
投稿者 j_sugimoto 日時 2015年5月1日
「すぎもとキッズクリニック」院長の杉本純一です。
本日、無事に予定通りにクリニックを開院することが出来ました。
たくさんの患者さんにご来院頂いたので、カルテの作成などに時間がかかり、長くお待たせしてしまった方も多かったのは恐縮ですが、大きな混乱はなく一日を終えることができました。
より良いクリニックを目指して、日々精進しますので、今後ともよろしくお願い致します。
内覧会盛況御礼
投稿者 j_sugimoto 日時 2015年4月26日
既にお知らせしています通り、当院の内覧会は、25日(土)26日(日)27日(月)の3日間を予定しています。
幸い、昨日、本日と晴天に恵まれたこともあり、のべ約1000人の方にお越し頂きました。
ご来場の皆様には、様々な質問や、期待の言葉をいただきました。本当にありがとうございました。
明日、27日(月)15:00~18:00にも内覧会を行いますので、是非とも皆様に足をお運び頂き、クリニックの中を見学して頂ければ幸いです。
内覧会を開催します
投稿者 j_sugimoto 日時 2015年4月24日
トップページの「お知らせ」にも書いてありますが、明日(25日)より3日間、内覧会を開催します。
お隣の「むねまさ歯科クリニック」「紀北調剤薬局つくの店」と合同で開催します。
受付でスタンプカードをもらい、それぞれのクリニックと薬局でスタンプを押してもらいますと、粗品を差し上げます。
25(土)、26(日)は10:00~15:00です。粗品はセブンイレブンのドーナツです。
27(月)は15:00~18:00です。粗品は阿倍野だんご本舗のきなこ団子です。
駐車場は、同じ敷地のセブンイレブンと共用になっています。
お誘い合わせの上、ぜひご来院ください。
診察を受ける子どもさんと予防接種や健診を受ける子どもさんが別々にお待ち頂けるように工夫した待合室をはじめ、院内を、そして私達スタッフを、見て行って下さい。
スタッフ一同、お待ちしています。
はじめまして
投稿者 j_sugimoto 日時 2015年4月18日
はじめまして。
堺市西区下田町(JR阪和線の津久野駅の近く)に、5月1日から「すぎもとキッズクリニック」を開院する予定の、杉本純一です。
このブログで、情報提供をしていきたいと思います。
診療に関することはもちろんのこと、診療には直接関係のないことも含めて、いろいろな情報発信や、話題提供ができれば良いな、と思っています。
今後ともよろしくお願いします。