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食物依存性運動誘発アナフィラキシー

投稿者 j_sugimoto 日時 2015年5月5日

食物アレルギーの中に、「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」という病態があります。
ある特定の食べ物を食べた後に運動することによって、アナフィラキシー状態が引き起こされる病気です。
運動の強さは、激しい運動により引き起こされることが多いのですが、時には散歩などの軽い運動で起きることもあります。

運動中の典型的な症状や、特定の食物を食べて運動するといつも症状が出る場合には、比較的容易に診断が可能なことが多いです。
一部の専門施設では、食物を摂った時に、心臓の検査で用いるトレッドミルの上を歩いたり走ったり、エルゴメーターという自転車のような機械を使って運動負荷をかけた時に、血液中のヒスタミンが上昇することを確認することで、診断をより確実にすることもあります。
小麦などの疑わしいアレルゲンの、血液中のIgE抗体を測定することで確認することもありますが、血液検査では陽性にでないことも多いので、臨床的な状況と症状を十分に患者さんに聞くことが診断のためにはとても重要になります。

運動中に症状が出現した場合にはただちに運動を止めて安静を保つことが大切です。じんま疹・呼吸困難・血圧低下・意識消失などのアナフィラキシー症状が出現する病気ですので、少しでも怪しい症状が出始めたらすぐに運動をやめて下さい。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーのある方は、食事の後2時間は安静にして運動をしないことで予防できます。
また、症状が出た時に備えてあらかじめ薬を処方してもらって携帯しておくと良いでしょう。その薬を使ってもどんどん症状が進む場合には、ただちに医療機関を受診して下さい。

上記のような病気ですが、ある時期は症状が強く出ていても、いつの間にか症状が出なくなって、薬も必要とせず、通院しなくて済むようになる患者さんも沢山います。