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喘息の診断について(2)

投稿者 j_sugimoto 日時 2015年5月24日

今日も、喘息の診断のお話の続きです。

気管支喘息の診断は、疑わしい症状・徴候の確認と除外診断から行います。
喘息による症状は特に夜間や明け方に起きやすいという特徴があります。
つまり、夜、特に寝ている間に咳き込みあるいはゼーゼー・呼吸困難が出やすいのが特徴です。
また、前回も書きましたように、症状が(無症状の時期を挟んで)繰り返すことも特徴です。
さらに、埃や煙を吸い込む、風邪をひく、痛み止めを服用する、運動する、季節や気候の変化、大笑いや大泣きなど、様々な原因により咳こみや呼吸困難などの症状が引き起こされたり悪化することも、喘息を疑わせる有力な根拠となります。

典型的な症状が認められて、かつ、症状が他の病気によるものではないことがはっきりすれば、喘息と診断されます。
他の病気の鑑別のためには、呼吸機能検査や胸部レントゲン撮影、血液検査などの検査を必要に応じて行います。
喘息の呼吸困難の特徴は、息を吐こうとするときに気管支が狭くなり、スムーズに吐けないことですが、呼吸困難の性質と程度は、呼吸機能検査をすればわかります。
息を最大に吸った状態から一気に吐き切る「最大努力呼気」をしてもらい、最初の1秒間でどれくらいの絶対量を吐くことができるか(1秒量)や、吐き出した量全体に対する最初の1秒間で吐き出した割合(1秒率)を指標にします。さらに気管支喘息では、β2刺激薬と呼ばれる気管支拡張薬を吸入すると1秒量が吸う前と比べて改善することが特徴的で、これを「気道の可逆性」と呼んでいます。可逆性が認められたということは、本来開いているべき気管支が十分に拡張していないことを意味しています。
呼吸機能検査の問題点は、普通に息をしたり、思いっきり息を吐いたりなど、指示通りに上手に息を吸ったり吐いたりできないと、正確なデータが得られません。目安としては、小学生ぐらいになれば、できるお子さんが増えてきますが、未就学の小さなお子さんには難しい検査です。

アレルギーと喘息との関係ですが、喘息は、明らかにアレルギーの関与が認められるアレルギー型(別名アトピー型)と、関与が明らかでない非アレルギー型(別名感染型)とに分けることがあります。花粉症やアトピー性皮膚炎などの他のアレルギー疾患があったり、血液検査をすると例えばハウスダストやダニ、カビ、ペットなどに対するIgE抗体が見つかったり、あるいは家族にアレルギー疾患があって、喘息の発症にアレルギーの関与が強そうな場合にアレルギー型・アトピー型に分類します。
わが国では気管支喘息の6,7割はアトピー型で、特に幼少期に発症する喘息の9割程度はこのタイプです。アレルギーの関与が強いことを「アトピー素因がある」という表現をすることもあります。

ゼーゼーあるいは呼吸困難がある状態で受診された場合、外来でβ2刺激薬と呼ばれる気管支拡張薬を吸入するとゼーゼーや呼吸困難がなくなったり軽くなったりすることが確認できたら、喘息と診断する非常に有力な根拠となります。

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