食物アレルギー②乳児湿疹との関係
今日も食物アレルギーのお話です。今日は、食物アレルギーと乳児湿疹・皮膚炎との関係について書きます。
アレルギーはもともと、体の中に不要な異物を入れないための仕組みです。とくに必要のないものが、何度も繰り返し体の中に入ってくると、その物質に対してアレルギーを持つようになります。
昔から、赤ちゃんの頃に湿疹が強いと、食物アレルギーを起こしやすいということが経験的に分かっていました。
最近まで、「アレルギーがあるから、アレルギーが強いから、湿疹・アトピー性皮膚炎ができる」と考えられていました。
しかし、乳児湿疹というものは、アレルギーで起こるものではありません。湿疹は皮膚の下の炎症です。生まれつき皮膚が弱いお子さんは、さまざまな刺激が皮膚の下にまで伝わりやすく、乳児湿疹ができやすいのです。つまり、乳児湿疹がひどいお子さんは、生まれつき皮膚が弱いという性質を持っているわけです。
皮膚は、外界から体を守る「バリア」の働きをしています。
しかし、上記のような、皮膚が弱い(=乳児湿疹が強い)お子さんは、その皮膚のバリアが十分に働かない、ということになります。
例えばですが、ご家庭で卵料理をすると、たくさんの卵が飛び散っています。もちろん、目には見えないレベルでの話です。実際、家のほこりを調べると、たくさんの食物の、ごくごく小さな破片が見つかります。
また、おうちの方(お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、ご兄弟、などなど)は、ご飯を食べた後、必ず綺麗に手を洗ってから赤ちゃんを触りますか?
通常、食事の前はともかく、後にしっかり手を洗ってからでないと赤ちゃんを触らない、という人は殆どいないのではないかと思います。
皮膚が丈夫だと、ちょっとやそっと触ったところで、体の中に卵の破片が入り込むようなことは、まずありません。
しかし、乳児湿疹があると、卵の破片が、皮膚のバリアを通り抜けて、体の中に入りこんでしまいます。
しかも、乳児湿疹があると、皮膚の下には炎症性の細胞が集まっています。これらの細胞が働くことによって、アレルギーの時に働くIgE抗体を作ってしまいます。
これが、アレルギーの原因になる。ということが、最近になって、わかってきました。
ですから、食物アレルギーを防ぐためには、湿疹・皮膚炎をしっかりとコントロールすることが重要です。しっかりコントロールして、赤ちゃんの肌からさまざまな異物を入れないようにする、ということですね。
具体的には、
一つには、ステロイド軟膏などを用いて、皮膚の炎症をしっかりと抑えてやること。
そして、一つには、保湿剤を適切に用いて、皮膚を強く保つこと。
そういったスキンケアが、とても大切です。