2024年末のご挨拶
当院の2024年の診療は、12月28日(土)の診療で終了しました。
今年は、新型コロナについてはあまり騒がれなくなり、概ね「コロナ前」の生活が戻ってきたように感じています。
一方、医療現場としては、やはり完全に「コロナ前」の診療に戻すわけにはいきませんので、「ある程度の」感染対策はしながらの診療となっています。
感染症では、今年は、マイコプラズマ肺炎の流行が長期に続いたことと、年末のインフルエンザA型の感染の大流行が印象的でした。
保健医療の制度で大きなものとして、今年の10月から、長期収載品(後発医薬品のある先発医薬品)の選定療養の制度が始まったことがあげられます。これは、あらかじめ国が指定した長期収載品を処方・調剤した場合に、後発医薬品との差額の一部を患者さんに追加負担させる仕組みです。
医療証がある患者さんも、追加の費用は払わないといけないことになっています。
これは、事実上の「混合医療」の解禁に繋がってしまわないか・・・簡単に言えば、数年後には、先発医薬品だけでなく、検査も治療も、どんどん、保険診療ではできなくなり、まともな医療を受けようとすると何もかもが「差額を負担して下さい」ということになっていかないか、その点が非常に気になります。
今までの歴史をみると、一度始まったこのような制度は、どんどん拡大されて行くことが多いので、今後の政府の動向には要注意だと思っています。
もう一つの大きなものは、今年の12月から始まった、「保険証の廃止」「マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行」です。
12月2日以降、従来の健康保険証は新たに発行されなくなりました。「マイナ保険証」を基本とする仕組みに移行しています。
有効期限が切れるまでの最長1年間は、従来の保険証も使えます。
今のところ、マイナ保険証で受付を行うシステムは、子ども医療医療証などには対応していませんので、患者さんにはマイナ保険証で受付を行ったうえで、医療証は別に提示していただく必要があるなど、混乱する要因になっています。資格確認を行うサーバーや回線などのシステムのトラブルも頻発していますので、今後、これらが、システム全体としてスムーズに使えるようになることを祈る気持ちです。
また、従来の保険証は、保険証を提示していただくのは月に1度で良かった(従来から受診の都度確認することが望ましいとはされていましたが、現場の運用として月に1回の確認で済ますことが許されていた)のですが、マイナ保険証は原則として受診の都度、マイナ保険証で受付をしていただく必要があります。
また、医療現場では薬不足が続いており、昨年もそうだったのですが、今年も薬不足が解消される目処が全く立たないまま、となっています。これは日本の保険医療の構造的な問題なので、今後もおそらくずっと続くと思います。
上記のように、国や制度のこと、あるいはそれ以外にも、日々、色々と思うところはありますが、その中で、より良い医療を提供するためにはどうするべきか、日々模索しています。これからも、地域の皆様のご期待に応えられるように、そしてより良い医療を提供できるように、スタッフ共々、より一層の努力と創意工夫を続けて参ります。
来年もどうぞよろしくお願い致します。
それでは、良いお年をお迎えください。