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ホクナリンテープは「咳止め」ではありません

投稿者 j_sugimoto 日時 2019年1月27日

ホクナリンテープ(一般名;ツロブテロールテープ)は、「ツロブテロール」という成分が入っています。この薬は、気管支を広げる効果があるものです。
このテープを貼ると、じわじわと皮膚から薬が吸収されて、約24時間、持続して気管支を広げる効果があります。

夜寝る前に貼れば、朝まで効果が持続するので、早朝に起こる喘息発作を予防することができます。喘息の発作とは、息を吐くときに気管支が狭くなってヒューヒュー、ゼーゼーすることを指し、咳だけの症状では喘息発作とはいいません。

ぜひ注意していただきたいのは、
「喘息ではない咳の症状にはホクナリンテープは効かない」
「ホクナリンテープは咳止めのお薬ではない」
ということです。
よく外来で「咳止めのテープも下さい」と言われますが、それに対する正しい答えは、「咳止めのテープなんてありませんよ」ということになります。
もっとも、ああホクナリンテープのことを言っておられるんだな、ということはわかりますので、当院で喘息の診断がついているお子さんでなければ、私から「いつもテープを貼ればよく効きますか?」などと尋ねています。
そして、「はい、いつもそれを貼れば咳が落ち着いて夜がよく寝られるようになるんです」という返事が返ってきたお子さんは、喘息であると考えてまず間違いありません。
それぐらい、このテープは、「咳止め」ではなく、「気管支を広げる薬」「喘息の薬」なのです。
喘息あるいは気管支炎で気管支(空気の通り道)が狭くなっている場合に、この薬が効けば、気管支に作用して気管支が広がり、空気の通りがよくなって、「結果的に」咳が減ったり呼吸が楽になります。
しかし、繰り返しになりますが、咳止めではありません。

また、ホクナリンテープは喘息発作の予防には効果がありますが、既に起こっている喘息発作をすぐに止めることはできません。効果が出るまで、ある程度の時間がかかるからです。

それと、この薬は、気管支に作用するだけでなく、心臓や他の臓器にも少しは作用しますので、副作用もあります。動悸や頻脈(脈拍が増える)などを引き起こしたり、手が震えたり、アレルギー症状を呈する場合もあります。 貼るお薬は手軽ではありますが、薬というものは必ず、ある程度の危険も付き物です。

以上から、「咳が出たからホクナリンテープ」、という考え方は間違っています。勝手な判断で使用せず、必ず主治医の指示通りに使用して下さい。
必要なお薬を必要な時に正しく使うことが、お子さんの健康を守ることにつながります。