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ヒトメタニューモウィルス

投稿者 j_sugimoto 日時 2016年5月19日

最近、「ヒトメタニューモウイルス」による上気道炎・気管支炎が流行っているようです。

殆どの方にとって、あまり聞きなれないウイルスの名前かもしれません。毎年3~6月ぐらいの、インフルエンザの流行が終わった後ぐらいの時期に流行することが多いウイルスで、簡単に言ってしまうと、「風邪の一種」です。
特に大きなお子さんでは重症化することは殆どなく、ごく普通の風邪症状で終わることが多いのでまず心配ありません。
小さなお子さんでは熱が長引いたり、咳がひどいなど、気管支炎や肺炎に近い症状になりやすい傾向があります。

このウイルスは、迅速検査で診断できます。
しかし、検査してわかっても、特に特別な治療法があるわけではなく、普通の風邪と全く同じで、対症療法のみです。
ですから、このウイルスが流行っているとか、このウイルスの感染の疑いがあるときいても、神経質になる必要はありません。
一部の保育園などでは「園でヒトメタニューモウイルスがでたから、この子も検査してもらってきて」などと言われるようですが、ほとんどが普通の風邪ですし、保険が効くのは6歳未満のお子さんでレントゲンで肺炎が強く疑われる場合のみとなっています。

特に治療もないのになぜ検査があるのか、ですが、この検査の目的は、少しぐらい気管支炎や肺炎の症状があっても、ヒトメタニューモウイルスであれば、全身状態が悪くない限り入院する必要もなく、また抗生剤を使う必要もないので、その判断をするために、検査をするのです。
つまり、ヒトメタニューモウイルスだから大変だ、というよりも、ヒトメタニューモウイルスだから風邪として治療するだけで良さそうですね、ということです。

集団内の感染をくいとめようといくら検査しても、軽い風邪症状のこども(や大人)の方が遥かに多いので、その人達を通じてどんどん感染は拡大します。
また、感染を食い止める必要があるかというと、「どんな風邪も絶対にひかせない」というのは不可能であることと同じように、ヒトメタニューモウイルスの感染を食い止めるというのは、現実的ではありません。風邪の一種ですから。

以上のようなウイルスですので、周りでこのウイルスの名前を聞いても、冷静に対応することが大切です。