離乳食とアレルギー
アレルギーに関して外来で話が出ることが多いものに、「離乳食前にアレルギー検査をしたい」というご希望があります。
以前にも書いたことがあると思いますが、アレルギーの診断は症状から診断するということが基本であり、大原則です。
離乳食を開始する際には、当然ながら、まだ食べたことのないものばかりです。その中から、食べさせるものをすべて血液検査することは不可能ですし、その必要もありません。
お子さんの食物アレルギーで症状が出やすいものとしては、卵、小麦、牛乳、大豆などがあります。また、たいていの日本人にとっては、米は主食で毎日食べるので、よほど強い症状でなければ気づかれにくいものです。
離乳食を始めるにあたって、それらについて検査してみることは、お兄ちゃんやお姉ちゃん、ご両親のどちらかなど、近い親類に強い食物アレルギーの人がいる、などの、リスクの高いお子さんにとっては、一定の意味はあると思います。
しかし、検査はあくまでも「参考」なので、最終的には食べてみてしっかり症状があるかどうかをみることで診断、ということになります。
離乳食の開始にあたっては、まず米(おかゆ)を、最初は「おもゆ」ひとさじから与えて、慣れてきたら少し米つぶも食べさせて、その後は、野菜やイモ類、大豆、魚、とすすめていくのが日本では標準的でしょう。
初めて食べるものは、加熱・加工されたものをひとさじから始め、様子を見ながら少しずつ増量してください。
初めてのものを食べる時は、平日の日中の診療所や病院があいている時間に始めるのがおすすめです。体調に変化があった時に、すぐに受診できるからです。
従来、アレルギーの原因となりやすいといわれている食物については、摂取開始を遅らせることが推奨されていましたが、現在では遅らせることでアレルギー発症のリスクを下げるという根拠はなく、食品によってはかえってアレルギー発症のリスクが上がってしまうという報告もあるので、あまり遅らせすぎるのも良くないと考えられています。
血液検査は参考にはなりますが、決め手にはなりません。
時々、全く症状が出ていないのにもかかわらず、離乳食開始前に血液検査を実施し、その結果をみて、少し数字が出ているからと、離乳食の食品に制限をし、偏った栄養摂取となっている場合があります。
過剰な食品の除去は、逆にお子さんの健康に害となります。
繰り返しになりますが、血液検査も一定の意味はありますが、あくまでも、アレルギーは症状から診断します。いつ、何を食べた時にどのようなアレルギー症状が出ているのかを正確に把握し、受診時にきちんとお伝えいただくことが、アレルギーの正確な診断と治療につながります。