見張りいぼ、切れ痔、便秘
太くかたい便が肛門を通るときに、肛門の粘膜や皮膚が切れてできる肛門の裂け目(裂傷)のことを裂肛といいます。いわゆる「切れ痔」です。
これは、赤ちゃんやこどもの血便の原因としてもっとも多いものです。
肛門の粘膜にできた傷はふさがるのが早いので、外から見てもわかりにくいことが多いのですが、排便のたびに何度も繰り返して裂けると、次第に裂け目が深くなって、炎症を起こします。
痛みのために排便を嫌って我慢するようになって、なかなか便が出ないと、さらに便がかたくなって、排便のたびに出血したり、おしりの痛みが強くなる、だからますます我慢して便が固くなる・・・という悪循環に陥ります。
慢性的に裂けて炎症を起こして、ということを繰り返すと、肛門の裂け目のまわりの皮膚が「いぼ」のように盛り上がってきます。
これを「見張りいぼ」といいます。
「いぼ」と名前がついていますが、これは「いぼ痔」ではなく、「切れ痔」です。少しややこしいですね。
腫れて明らかに痛がっているなど炎症が強い場合は、軟膏などを使用することもありますが、通常は「見張りいぼ」そのものへの治療が必要なことはあまりありません。
便秘やかたい便がそもそもの原因であることが多いため、排便のコントロールを行い、肛門部の清潔を保つことが大切です。
排便が順調になれば、裂傷の繰り返しがなくなり、「見張りいぼ」も小さくなってきます。
治ったあとに肛門のひだ・皮膚のふくらみが残ることもありますが、手術などの必要はまずありません。
お子さんのひどい便秘、便に血が付いている、排便時の痛み、肛門周囲の「いぼ」などの症状が気になったときは、受診してご相談ください。