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子宮頸がんワクチン

投稿者 j_sugimoto 日時 2015年8月2日

以前にもこのブログにワクチンのお話を書きましたが、最近、何人かの方から、子宮頸がんのワクチンに関しての質問をいただきましたので、私の考えを書きます。

結論から率直に申しますと、「私にもよくわからない」が結論です。

医学研究が進む中で、子宮頸がんの多くが「ヒトパピローマウイルス(HPV)」という、性交渉で感染するウイルスにより引き起こされることがわかってきました。
それがわかったのだから、このウイルスの感染を予防することで子宮頸がんを防ぎましょう、ということで、研究が重ねられ、ワクチンが作られました。

しかし、問題は、一時よく報道されていましたが、副反応です。
このワクチンを接種したお子さんが、慢性の疼痛(頭痛、筋肉痛、関節痛など)や、歩行障害、記憶障害など様々な神経系の障害が現れて、長期間(何年も)続いているのです。

他のワクチンの副反応は、接種後すぐに出現する「アナフィラキシーショック」(アレルギー反応)か、しばらくしてから発生する急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、末梢神経障害(ギランバレー症候群)などで、いずれもほぼ確立された治療法で、たいていは軽快します。後遺障害の残ってしまうお子さんはごくごく一部です。
しかし、子宮頸がんワクチンの副反応は、治療法はおろか、そもそも何なのか、なぜそういうことになるのかすら、まだ全くわかっていません。
当院のホームページからもリンクを貼らせてもらっている「know-vpd」のサイトなどで、慢性疼痛はHPVワクチンそのものは関係なく、注射の痛みからくるものという記載がありますが、これはおそらく、事実ではないと私は思っています。
というのは、接種直後からではなく、接種後数週間たってから症状が悪化している例が少なくないからです。

その一方で、ワクチンの効果の程ですが、できて間のないワクチンなので、実際にどの程度子宮頸がんを防ぐ効果があるのかは、未知数です。

そんなこんなで、とにかく「わけがわからない」状態のため、私の意見としては、もうちょっと何かわかるまで待った方が良い、と考えています。
外来で相談された方にも、そのようにお話させていただいています。

ただし、私の意見は、子宮頸がんを診ることはまずない、一人の小児科医の意見です。例えば日常的に子宮頸がんに苦しむ方を診ている婦人科の先生は、また違った意見を持たれているかもしれません。
そういうわけで、あくまでも私の意見としては上記のように考えていますが、最終的にはいろいろな情報や意見を集めていただいて、メリット、デメリットを考えた上で、お子さん本人と保護者の方に判断していただくしかありません。
ずるいように聞こえるかもしれませんが、どうかご理解下さい。