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手足口病

投稿者 j_sugimoto 日時 2015年7月2日

最近、当院を受診される方に、手足口病が多いです。つまり、当院の周辺で流行っているようです。
手足口病は、口の中や、手足などに発疹が出る病気で、ウイルスの感染によって起こる感染症です。夏に流行することが多く、いわゆる「夏カゼ」の一種です。
病気の原因となるウイルスは、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなど、複数のウイルスが確認されています。

症状は、口の中、手、足などに、直径2~3mm程度の、水疱を伴う発疹ができます。熱は出る場合も出ない場合もあります。高い場合は一時的に39度程度になる場合もありますが、高熱が続くことはあまりありません。通常は数日間から1週間程度のうちに治ってしまう、「たいしたことのない」病気です。
しかし、ごく稀にですが、髄膜炎・脳炎や、小脳失調症、心筋炎などの重篤な合併症を引き起こすことがあります。そのため、手足口病にかかった場合、経過を注意深く観察し、合併症に注意をする必要があります。

治療は、特効薬はなく、特別な治療方法はありません。対症療法のみになります。つまり、解熱剤や、感冒症状がある場合はいわゆる風邪薬(咳・鼻汁などの薬)などを使いながら、脱水に気をつけて、水分摂取をこまめに行い、食べられそうなものを食べて、よく休むことが治療です。基本的には軽い症状の病気ですから、闇雲に恐れる必要はありません。
しかし、上にも書きましたように、稀に重篤な合併症などが起こる場合がありますから、経過観察をしっかりと行うことが必要です。
高熱が2日以上続く、何度も嘔吐する、頭を痛がる、視線が合わない、呼びかけに答えない(ぼーっとしている)、呼吸が速くて息苦しそう、水分が取れずにおしっこがでない、ぐったりとしている、などの症状がみられた場合は、すぐに受診して下さい。

感染経路は、飛沫感染、接触感染、糞口感染(便の中に排泄されたウイルスが口に入って感染することです)が知られています。
乳幼児が集団生活をしている保育園や幼稚園などでは特に流行しやすい病気です。
出席停止の基準は法律などで明確な基準があるわけではなく、「発熱や摂食障害(食欲低下)がある間は出席停止」とするのが一般的です。当院でもそのような基準で登園・登校許可書を書いています。
うちの子にうつったら困るからちゃんと治るまで(うつらなくなるまで)休ませて欲しいわ、と思われる保護者の方も多いことと思われますが、実は、この病気でのウイルス排泄は症状が終息してからも長い場合は1ヶ月から2ヶ月にわたって続くことが分かっています。そのため、他の子供への感染の可能性だけを理由に登校(園)を停止する積極的な意味は無い(2ヶ月も休ませるのは現実的ではない)と考えられています。
それならブツブツがあっても本人が元気だったら行って良いですよ、ということになっているわけです。
ただ、発疹(ブツブツ)というものは見た目にわかりやすいので嫌がられますし、また「○○ちゃんからうつされた」と後で陰口を叩かれないように、発疹が目立つ間はお休みした方が余計なトラブルにはなりにくい、と個人的には感じています。
(これはあくまで私、院長の個人的な考えです)