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運動誘発性喘息

投稿者 j_sugimoto 日時 2017年1月15日

運動した時に気管支喘息症状が出て来るものを、運動誘発性喘息(EIA:Exercise Induced Asthma)といいます。

通常、運動誘発性喘息では、運動開始後数分ぐらいで息切れ、咳、喘鳴などが生じ、運動を中止すれば、30分から1時間程度、長くても数時間以内には改善します。

運動誘発性喘息が起こるメカニズムとしては、運動による換気量の増大により気道の冷却と加温が繰り返されること、気道の乾燥による浸透圧の変化、運動によって自律神経のバランスが悪くなること、などが原因となっていると考えられています。
そのため運動誘発性喘息は、特に換気量の多い冬季のスポーツ(マラソン、サッカー、スキーなど)で発症しやすいのです。
もちろん夏のスポーツでもみられるのですが、特にこの冬の寒くて空気が乾燥する時期には、運動誘発性喘息の症状が出る患者さんが多くなります。

運動誘発性喘息を診断するためには、呼吸機能検査をします。
運動負荷をしながら呼吸機能検査をすることが理想ですが、運動負荷をして直後に呼吸機能検査することを繰り返すというのは設備などの関係で難しいことも多く、安静時の呼吸機能検査のパターンと、運動して喘息が出る時のエピソードなどから総合的に判断して、運動誘発性喘息と診断することが多いです。

運動誘発性喘息の予防としては、まずはしっかりと準備運動・ウォーミングアップを行うことです。
運動する時間や激しさを、ゆっくりとした運動から始めて、体を慣らしながら徐々にふやしていくようにすると、喘息症状は出にくいです。
逆に、準備体操をしないで急に激しい運動をすると、発作が出やすくなります。
気道に冷たく乾燥した空気が流入することで発作が起きやすくなるため、気温や湿度が低いところでの運動を避けること、またマスクを装着することも有効です。
自律神経の調子を整えるために、睡眠は十分にとりましょう。

以上のことに注意を払っても、頻繁に運動誘発性喘息がおきる人は、予防薬を処方してもらい、運動前に使用するのがいいでしょう。

どうしてもコントロール出来ずに運動を減らさざるをえないお子さんも中にはいらっしゃいますが、たいていの場合、適切に対処することで、運動をすることは可能です。
「喘息の子は運動できない」というのははるか昔のお話です。
運動したら息がしんどくなる、咳き込む、というお子さんは、我慢したり運動をあきらめてしまう前に、どうぞ外来でご相談下さい。