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ペットボトル症候群

投稿者 j_sugimoto 日時 2016年7月10日

このところ暑い日が多いので、熱中症が多く報告されているようです。

熱中症の予防には水分や塩分の摂取が重要となります。
そこで「ポカリスエット」や「アクエリアス」など(他にもたくさんありますが)のスポーツドリンクを飲む機会が増えるかと思います。
のどがかわくため、他にもつめたい清涼飲料も欲しくなります。
しかし、スポーツドリンクや清涼飲料には糖分が多く含まれています。
糖分の多いこれらの飲料を多量に飲み続けていると、急激に血糖値が上がる「ペットボトル症候群」に陥る危険性があります。

「ペットボトル症候群」の正式な名称は、「ソフトドリンク・ケトーシス」といいます。
糖分の多いソフトドリンクなどを継続して多量に摂取することで血糖値が上昇し、血糖値を一定に保つために必要なインスリンの働きが一時的に低下するために起こります。
インスリンが足りなくなると、吸収したブドウ糖をエネルギーとして上手に利用できなくなり、体の中に蓄えてある脂肪などを分解してエネルギーとして利用せざるを得なくなります。
そのときに「ケトン体」と呼ばれる代謝物が増えてしまうので、血液が酸性に傾きます。
これを「ケトーシス」というのですが、結果として、意識が朦朧としたり、強い倦怠感があったりします。

糖分の過剰摂取のために血糖が上がってしまうと、それを薄めようとしてさらに水分を欲するため、のどが渇きます。
血液の浸透圧も上がるので、浸透圧利尿と言いますが、尿の量も増えます。そうなると、体から水分がさらに出て行ってしまうので、そのせいでさらにのどが渇き、甘い飲み物をさらに飲んでしまうという悪循環に陥ってしまいます。

一般的な清涼飲料水には、 1 リットル当たり 100 グラム前後の糖分が含まれています。
一般的なスポーツドリンクには、1 リットル当たり 40~60 グラム程度の糖分が入っています。
角砂糖1個が4~6グラム前後なので、1 リットルの飲料を一気に飲んだ場合、清涼飲料水では角砂糖 20 個、スポーツドリンクでは角砂糖 10 個をかじったのと同じことになります。

激しい運動をする場合や、長時間運動を続ける場合、糖分を増やしてエネルギーを補給する必要があります。
塩分も汗をかくことで大量に喪失するため、多くとる必要があります。
スポーツ飲料は、このような場合を考えて、そういう場合にちょうど良いように、成分ができています。
ですから、通常の日常生活の中で摂るには適切でないのは当然です。
日常の生活における脱水の予防には、スポーツドリンクや清涼飲料水だけでなく、お茶やミネラルウォーターなどの糖分の入っていない飲み物と交互に摂ったりするなどの工夫が必要です。

また、乳幼児は、糖分が多すぎると上記の「ペットボトル症候群」を起こしますが、少なすぎると低血糖を起こします。
食事が採れない時には、経口補水液(OS-1など)を上手に摂ることが大切です。

時と場合に応じた適切な水分摂取を行うことで、「ペットボトル症候群」や熱中症を上手に予防しましょう。