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病気の時のお風呂について

投稿者 j_sugimoto 日時 2016年1月24日

外来でよく聞かれる質問の一つに、「お風呂は入っても良いですか?」という質問があります。

病気の時には、お風呂にはいってはいけないとよく言われ、広くそう信じられています。しかし、実は科学的な根拠はあまりありません。

世界中でも病気の時のお風呂の習慣は様々で、子供が風邪をひいて熱がある時に、熱いお風呂に入れる国や地方もありますし、水やぬるま湯のお風呂に入れる地方もあります。
それぞれある程度は理にかなっていて、
熱いお風呂に入れるのは、熱が出るということは体が熱を欲しているからだ、それなら熱いお風呂に入れてしっかり熱を上げよう、という考え方。
水やぬるま湯のお風呂に入れるのは、熱が出ているから冷やして熱を下げよう(クーリング、冷却)という考え方。

熱が出ている時に熱いお風呂に入るのはしんどいし、水やぬるま湯のお風呂に入ると寒気がして、ますます熱が上がってしまう、という側面も考えられることと、日本人には体質的に熱性けいれんという、熱が出ることによってけいれんを起こす体質を持っている人が多いことから、日本では「無難に」病気の時、特に熱がある時には、お風呂は入らない、という習慣が広まったのだと思われます。
また、以前は内風呂が少なく銭湯などの外風呂の利用が多かったため、病気の子供には衛生状態が気がかりだったり、行き帰りに体が冷えたりということも理由としてあったのかもしれません。

一般的に入浴には、
1)皮膚を清潔にし、皮膚呼吸を助ける  
2)皮膚に刺激を与え、血行をよくする
3)身体を温め緊張を解きほぐす     
4)精神的疲労を取り除く
といった効果があります。

ですから、入れるのならできるだけお風呂には入った方が良い、と私は考えています。

そこで、風邪などの病気の時の入浴は、以下のような点に気をつけて下さい。

・発熱の程度が強くて、つらそうな時には、入浴はひかえましょう。逆に言えば、多少の熱があっても、元気があって顔色も良い場合には入浴して良いでしょう。
・熱性けいれんを起こしたことのあるお子さんは、熱がある時は入浴を控えた方が無難です。
・どこかが局所的に明らかに熱を持っていたり、赤く腫れていたり、ズキズキと痛いところがある場合は、お風呂は入らない方が良いです。   
・発熱がなくても、本人が入浴をいやがる時には、無理に入れることはやめましょう。 
・ひどい下痢の場合の入浴は、家族への糞口感染のリスクが高まりますので、控えた方が良いでしょう。あるいは最後に入浴するなどの工夫を。
・咳や鼻水がでていても、顔色がよく、食欲や元気もある場合は、入浴しましょう。
・お子さんの状態や様子をよく見て、お湯の温度や時間を加減してください。
・湯冷めに注意して、お風呂の後はすぐに布団に入るようにして下さい。