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ヘルペス性歯肉口内炎

投稿者 j_sugimoto 日時 2015年11月29日

「ヘルペス性歯肉口内炎」という病気があります。

この病気は、単純ヘルペスウイルス(主として1型)に初めて感染した時に発症します。
乳幼児期に比較的多く見られます。
単純ヘルペスウイルスに感染しても、不顕性感染と言って、何も症状がない人の方が多く、この病気の症状が現れるのは10%以下だと考えられています。
潜伏期間は約1週間(2~14日)です。
小児科では、年に何人かはこの病気のお子さんを診ます。

症状は、急な高熱で発症します。
発熱は短くて2日程度、長いと1週間近く続きます。
最初は発熱だけですので、この段階で受診しても特に他に所見はなく、「風邪でしょう」という話になることが多いです。
その後、次第に、歯肉口内炎(歯肉が発赤・腫脹し、疼痛があり、出血することもあります)となります。歯肉炎と口内炎がはっきりしてくるのは、発熱して3日以上経過してからのことが多いです。
ですので、口内炎がたくさん出来た段階でまだ熱が続いている場合と、解熱してから口内炎がはっきりしてくる場合があります。
歯肉口内炎ができた段階で小児科を受診していただければ、診断は容易です。
舌にも、潰瘍が生じることがあります。
また、口唇や口の周囲の皮膚に小水疱が現れることもあります。
最初の発熱から1週間を超えたあたりで急速に症状が回復することが多いです。

治療は、特に薬を使わなくても上記のように1週間あまりで自然に回復することが多い病気ですが、水痘の時と同じ抗ウイルス剤で、症状が軽くなったり治るまでの期間を短くすることが期待できるため、まだ熱が続いていたり、歯肉口内炎の程度と時期によっては、抗ウイルス剤を処方します。
また、歯肉口内炎がひどくて水分をとれなくなった場合は、点滴や入院が必要になる場合があります。

この病気になった時は、脱水にならないように十分に水分をとることが何よりも大切です。
食事は無理に食べさせないで、飲みやすいものなどを与えるようにしましょう。
熱いもの、堅いもの、辛いもの、しょっぱいもの、すっぱいものは痛い(しみる)ので、冷たいもの、柔らかいもの、やや甘いものなど、具体的にはプリン、ゼリー、アイスクリーム、豆腐、ヨーグルトなどの、食べやすいものを与えてください。
とにかく痛いので、歯みがきは、良くなるまで中止してください。
熱がなくなって、水分が十分に取れて、食べ物がある程度食べられるようになってから、保育園や幼稚園に行きましょう。