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クーラーの使い方

投稿者 j_sugimoto 日時 2015年8月23日

お子さんがいるご家庭で、クーラーを使うべきかどうか、外来で時々質問されます。

特に喘息をお持ちのお子さんが咳をしていたり、一夏に何度も風邪を繰り返してひいたりなかなか治らなかったりすると、親御さんとしては「クーラーが原因かな?」と思われることでしょう。

結論から言えば、クーラーは使うべきだと私は考えています。

私が子供の頃は、私も喘息もちでしたから、「クーラーはできるだけ使わないほうが良い」と主治医から言われていました。

しかし、その時代と今とでは、暑さの質が根本的に異なります。

まず、単純に「暑い」「気温が高い」ということがあります。
地球温暖化の影響かどうかはともかくとして、昔に比べて気温が高いのは確実です。
気象庁発表の百葉箱の中の気温のデータではなく、実際に生活する環境の気温は、昔に比べて明らかに上がっています。

加えて、日本の住宅構造も関連があります。
特に都心部や住宅密集地においてはそれが必要とされるからですが、騒音対策やエコ対策の普及などにより、日本の住宅は気密性が非常に高い住宅が多くなりました。
「高気密高断熱」ということは、「こもった熱が逃げにくい構造」ということです。

日本の夏は諸外国と比べて湿度がとても高いというのも特徴です。
湿度が高いと気温の数値以上に体感温度も高く、体の熱が逃げにくくなります。

子どもの体の特徴として、体の表面の面積当たりの発汗量が大人よりも多く、それでいて体内の水分の絶対量が大人より少ないということがあげられます。
ですから、子どもは暑い状況にさらされると大人よりも脱水になりやすいのです。

以上から、脱水や熱中症を防ぐために、エアコンを上手に使ってあげる必要があります。
同時に、適度な水分と塩分のこまめな補充も必須です。

「では、設定温度は?」というのもよく質問されますが、これは機種により異なるものなので一概には言えません。
また、温度計を使って室温を計っている方もおられますが、単純に数値だけの問題ではありません。
私は、「大人、特に男性が快適と感じる温度よりも、ちょっと高めの設定にして下さい。大人の男性がちょっと暑いなと言うぐらいがちょうど良いです。」とお答えしています。
例外はありますが、一般的には(大人の)男性は女性よりもクーラーを強めにかける傾向があり、女性は冷え症の方が多いですので、そのようにお答えしています。

クーラーが効きすぎると睡眠時に体の熱が奪われて(=冷えすぎて)良くないし、高すぎると汗を多くかきすぎてしまうのでやはり良くないです。

あと大事なことは、扇風機やエアコンの風が直接体に当たらないように工夫すること。
直接、体に風が当たると、思った以上に体温が奪われてしまいやすいからです。