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嘔吐・下痢症について

投稿者 j_sugimoto 日時 2015年5月10日

こんにちは。すぎもとキッズクリニック院長の杉本です。

今までアレルギーの話が続いたので、今日はアレルギーではなく、小児に多い「嘔吐・下痢」について書きます。

赤ちゃんや子どもの急性胃腸炎は嘔吐と下痢が主な症状で、細菌性の胃腸炎の場合もありますが、殆どがウィルス性胃腸炎です。ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルス、などが主な原因ウイルスです。

ウィルス性胃腸炎というのは、ウィルスが胃腸に入り込んで、胃腸の働きを悪くするために、嘔吐したり、下痢をしたりします。人によって、嘔吐だけ、あるいは下痢だけ、腹痛だけの事もあります。
一般に、「おなかのかぜ」「胃腸かぜ」「はきくだし」「嘔吐下痢症」「腸感冒」など、様々な呼び方で呼ばれています。

なぜ嘔吐するかというと、簡単に言えば、胃腸が病気でしんどいので「休みたがっている」からです。
病気のせいで消化吸収能力が落ちている胃腸に、食べものや飲み物が入ると、「こんなの消化できない!」と、嘔吐して外へ出してしまうわけです。

嘔吐したら、1~2時間は飲み食いしないことをお勧めしています。
お子さんが嘔吐すると脱水症が心配になったり、お子さんが水分を欲しがるので、つい、嘔吐した直後にでも水分を与えたくなりますよね。
しかし、嘔吐した直後に水分を摂取しても、殆どの場合、また続けて嘔吐してしまいます。
少なくとも30分、できるだけ1~2時間程度は飲んだり食べたりせずに、胃腸を休め、ただ寝かせてあげると良いでしょう。
お子さんが水分を欲しがっても、少しの間の「がまん」をしてもらうことも大切です。

嘔吐している時の水分は、「経口補水液」がお薦めです。市販のものでは「OS-1」や「アクアライトORS」があります。ご自宅で、水1リットルに対して、塩3gと砂糖40gを混ぜて作ることも出来ます。これらを用意していただいて、お子さんに、ゴクゴクと飲ませないで、保護者がティースプーンあるいはおちょこのようなもので、一杯ずつ与えて下さい。一口与えたら数分間待って、また一杯与えて下さい。そのようにして、1時間程度かけて、100ccを飲みます。100cc飲めたらお子さんも保護者も一時間休憩して下さい。この一時間は胃腸の仕事を減らしてさきほどの100ccを確実に体に吸収させるための時間です。欲しがってもまた「がまん」していただいた方が良いです。

上記のようにして、様子をみながら、吐き気が治まってきたら徐々に水分を摂る量を増やして、ゴクゴクと水分を摂取しても嘔吐しないようになったら、お米(お粥)、パン、うどんなどの穀類を補給しましょう。穀類を採ると体のエネルギーとなり、疲れやだるさが取れます。お肉や野菜などはもう少しの間、控えた方が安心です。食べられるようになっても、胃腸の働きはまだまだ100%までには回復していませんから、少量ずつ与えるようにしましょう。

赤ちゃんの場合、母乳は飲めれば胃腸にも優しいので、お薦めです。ただし、母乳は一回に胃腸に入る量が多いことが難点です。可能なら搾乳して少しずつ与える方が安心です。

粉ミルクは、与えるなら薄めず通常通りの濃さで良いのですが、母乳よりもお腹への負担は大きいため、胃腸炎の程度と下痢の長引き加減によっては、一時的に粉ミルクを止めていただくようにお話しする場合もあります。

少量頻回の水分摂取を行っても嘔吐が続く時は、脱水の程度が強い場合、あるいはウィルス性胃腸炎以外の原因による嘔吐の可能性がありますので、ご自宅で我慢しすぎないで、医療機関を受診して下さい。
一度、嘔吐が始まった初期にきちんと診察を受けていても、病初期には病気の特徴的な症状が現れないことも多いし、経過中に他の病気を併発している可能性もありますので、診断が間違っている、あるいは嘔吐の原因そのものが変わっている可能性があります。嘔吐や極端な不機嫌が続くときは、何度でも繰返し医療機関を受診して下さい。